森山大道の作品に息づく、日記文学の伝統『スナップショットは日記か?森山大道の写真と日本の日記文学の伝統』

13 August 2020

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スナップショットは日記か?森山大道の写真と日本の日記文学の伝統

“カタリココ”とは、作家・大竹 昭子が2007年に始めたトークと朗読の会でいまもつづいているが、この名を冠した書籍レーベル<カタリココ文庫>がスタートし、大竹昭子随想録『スナップショットは日記か?森山大道の写真と日本の日記文学の伝統』が発売された。

 

『新潮』(2020年7月号)に寄稿した文章に、6月19日に行った森山大道への最新インタヴューを収録して1冊にまとめたもの。2019年にハッセルブラッド国際写真賞を受賞した森山について、スウェーデンのヨーテボリで行われた授賞式の模様を皮切りに、作家の生みだす写真の核心を探っていくものとなっている。著者は、森山の日々歩いて撮るというシンプルな制作方法と、それが生みだすイメージとの飛躍の2点に注目し、そこにドナルド・キーンが『百代の過客』のなかで指摘した日本の日記文学の伝統が息づいているのではないかと考えた。現在、スナップショットは世界的には衰退する傾向にあるが、日本では森山をはじめとしてこれにこだわる写真家は多く、若い世代にも引き継がれている。そこに平安時代以来の日記文学の伝統がかたちを変えて継承されているのではないか、という著者の指摘は、コロナ禍にあって日記が見直されているいま、さまざまな方向に考えを発展させる可能性を秘める。

また本書の文章スタイルは、写真について関心のあるひとはもちろん、そうではない人も自然に入り読み終えられるよう、旅紀行やエッセイや評論の要素を併せ持ちながらも、そのどれにも属さない独自なものとなっている。森山の生い立ちや写真との出会いにも触れ、巻末に略年譜が付いた本書は、森山の写真を知るための手引きにもなるだろう。

タイトル

『スナップショットは日記か?森山大道の写真と日本の日記文学の伝統』

発行所

カタリココ文庫

発売日

2020年8月10日(月)

料金

900円+tax

仕様

ソフトカバー/105mm×148mm/61ページ

URL

https://katarikoko.stores.jp/items/5f24fa4b791d0261e5abab9c