世界最古の樹を期限切れ印画紙に写し出す、
ニコライ・ホワルト『Old Tjikko』

過去にも実験的な作品を手がけて来たデンマーク人ヴィジュアルアーティストの作品集。

06 February 2020

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Old Tjikko

デンマーク人ヴィジュアルアーティスト、ニコライ・ホワルトの作品集『Old Tjikko』が、Fabrik Booksより刊行された。

スウェーデンのダラナ地方フルフジェーレット山脈で発見された樹齢約9,600年を重ねるヨーロッパトウヒの木「Old Tjikko」は、世界最古の木と謳われる。この特別な木を写した一枚のネガフィルムを用い、97種類ものフィルム写真用の古い印画紙に同じイメージをプリントした作品で本書を制作、印画紙の一部は1940年代に製造されたものも含まれているという。使用期限を長らく過ぎてしまった印画紙を使うことで現れる予測不可能な結果が、それぞれのイメージにダイナミックな効果を与え、本作に欠かすことのできない要素となった。陰鬱な暗さから眩いばかりの白さまで、同じモチーフを用いているにも関わらず、そこには97種もの有機的なバリエーションが生まれた。紙上でコントロールができなくなっている銀塩の化学反応が突然流星群のように現れたり、濃い霧に包まれたような風景を作り出す。写真の不変性へ疑問を抱き、我々が認識しうる物質性の中で見落とされがちな効果や機微なものへの着目したことにより、この紙の上で起きている時の流れで生じた不完全さがまるで遥か遠い昔の出来事を垣間見せているように感じられる。

長らく眠り続けた印画紙が生んだその痕跡は、現代において1000分の1秒という一瞬で切り取られた「Old Tjikko」によって姿を現し、そしてその木は「生きたイメージ」として我々の想像を絶するほど長い時-数千年もの時間を経て、そこに立っているのである。

タイトル

『Old Tjikko』

出版社

Fabrik Books

出版年

2019年

価格

7,000円+tax

仕様

ハードカバー/166mm×225mm/224ページ

URL

https://www.twelve-books.com/products/old-tjikko-by-nicolai-howalt