アメリカ人写真家、スティーブン・ショアの写真集『TRANSPARENCIES: SMALL CAMERA WORKS 1971-1979』がMACKより発売された。20世紀後期から21世紀初期に活躍した最も影響力のある写真家の一人と謳われるショアの代表作、『Uncommon Places』(1982年刊)。その制作時にコダクロームで撮影されていた別シリーズのフィルムが見つかり、初めて写真集化されたのが本書である。
アメリカの原風景を写し出した『Uncommon Places』の撮影のためアメリカ各地を旅していた際に、ショアは35ミリのライカも持ち歩いていた。主に大判カメラを使っていたショアには、本能の赴くまま、直接的な表現ができるライカはまたとない相棒だった。当時まだ10代だったショアを写真に惹きつけたのもこの感覚で、35ミリフィルムで撮ったイメージの持つ直接的な感覚を再現しようと、後に大判カメラでの撮影にも同じアプローチをするようになる。何年も経ってから当時の写真を見つけたショアは、その奇妙な雰囲気に驚かされたという。大判と35ミリのアスペクト比との違いは、二つの音符の音の違いとも言えるほどだった。ライカで撮影された写真は、アメリカのありふれた光景と独特の雰囲気を同時に描き出し、フレームの外に広がる世界を示唆している。
本書に収められた未発表のコダクロームのスライドは、写真史における重要な一時期に対するショア独自の見解だけでなく、主題と色に対する斬新なアプローチも示している。ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)のキュレーター、ブリット・サルヴェセンの書き下ろしエッセイも収録。
タイトル | 『TRANSPARENCIES: SMALL CAMERA WORKS 1971-1979』 |
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出版社 | |
出版年 | 2020年 |
価格 | 8,500円+tax |
仕様 | ハードカバー/300mm×310mm/192ページ |
URL | https://www.twelve-books.com/products/transparencies-small-camera-works-1971-1979-by-stephen-shore |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。