編集者、鑑賞者の境界線を越えて絡み合う演劇的なゲイリー・コーエンの作品集『Déchiré』

03 January 2021

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Déchiré

フランスを拠点に活動する写真家、ゲイリー・コーエンの作品集『Déchiré』。

機能性を超越した創造性を記録し、幾層にも重なりあった表面の下に潜む本来の意図を新たな美意識が宿る芸術作品に生まれ変わらせた本作は、ヴィジュアル的には新現実主義者のジャック・ヴィルグレやミンモ・ロテッラを思い起こさせるが、ここでは複数のイメージを1枚の平らな表面にすることによってポスターが持つ消費者主義的な目的と、それが破れることによって発現する反資本主義性という二面性をそれほど強く感じさせないようにしている。

アーティストでありデザイナーのサラ・ボリスがクリエイティブディレクションを担当し、写真を撮ることと同じ方法を用いて裏面が青い紙にイメージをシルクスクリーンで印刷している。この本を自由にするには、それが収められている封筒を破かなければならない。綴じないことによってページの順序を変えたり、1枚の作品として飾ることができるなどの本書の特徴は、編集者、鑑賞者、キュレーターを隔てるすべての境界線が絡み合い一つになっている本書に演劇的な側面を付け加えている。パリを拠点に活動する詩人、劇作家、翻訳家のアデレード・プラロンの詩も収録。

タイトル

『Déchiré』

出版社

MÖREL

価格

8,800円+tax

出版年

2019年

仕様

ソフトカバー/247mm×369mm/32ページ

URL

https://www.twelve-books.com/products/dechire-by-gary-cohen