11 May 2021

2020年に生まれた特異なビートはいかに歴史を構成し、未来へつながっていくのか?トマス・プライヤー『AMEN BREAK』

11 May 2021

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AMEN BREAK

アメリカ人写真家、トマス・プライヤーの写真集『AMEN BREAK』は、2020年とニューヨークが静止していた瞬間を見つめた1冊。ストリートに根ざしたドキュメンタリー写真を撮り続けてきたプライヤーは、かつて溢れんばかりの人でにぎわっていた街の商業地区を歩き回り、日常生活の基盤となっていたさまざまな概念が覆され、健康、福祉、人種、公民権、経済、最終的には未来をめぐるグローバルな対話が始まった瞬間を吸収していった。

タイトルに用いられている「アーメン・ブレイク(AMEN BREAK)」とは、20世紀の音楽の流れを変えた4小節のドラムソロの呼び名のこと。あるソウルバンドのレコードのB面に収録されていた7秒間のブレイクは、1980年代にヒップホップが台頭するともに広くサンプリングされ、ドラムンベースやジャングルの定番のリズムになった。さまざまなジャンルの曲に何度も使用された、史上最もサンプリングされた音源の一つと言われている。プライヤーはその「AMEN BREAK」を可視化することによって、ジョージ・フロイド殺害事件、マスク着用の選択、一国の指導者による虚偽の発言といった特異な出来事、つまり歴史を構成しているビートやリズムがどのようにして未来に波紋を投げかけることができるのか問いかけている。

なお、本書の売上の一部は、必要とするすべての人に無料で食物を提供するニューヨーク市最大かつ最も広いリーチを誇る食糧支援団体「9 Million Reasons」に寄付される。さらに、ある民間のスポンサーの厚意により、この金額と同額が追加で寄付されることになっている。

タイトル

『AMEN BREAK』

 
出版社

Loose Joints

出版年

2020年

価格

3,520

仕様

ソフトカバー/280mm×395mm/76ページ

URL

https://www.twelve-books.com/products/amen-break-by-thomas-prior

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