12 July 2026

新聞からつくられた『The Newspaper』
アルル国際写真祭 フォト・テキストアワードのショートリストに選出

12 July 2026

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© Kazuma Obara

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写真家、小原一真と文筆家、森旭彦によって制作された『The Newspaper』が現在開催中のアルル国際写真祭2026(7月6日〜10月4日)、フォト・テキストアワードのショートリストに選出された。

『The Newspaper』は、新聞をテーマにした写真集である。そして、実際の新聞を印刷する輪転機を使って印刷されている制作されている。約200ページにおよぶこの本は、13部の独立した新聞でできている。それらを一つに束ねることで、一冊の写真集として成立している。

本書の舞台は、140年以上の歴史を持つ日本で最も古い地方紙の一つである京都新聞。現在も、記者たちは山間部の集落まで取材に向かい、新聞配達員が毎日ニュースを届けている。いま世界各地で、新聞産業は大きな変化に直面している。紙の新聞を読む人は減り、地域のニュースを取材し続けることが難しくなっている場所もある。その結果、身近な地域で何が起きているのかを記録し、伝える力が弱まることが心配されている。小原と森は、京都新聞の日々の仕事を、いまも残っている新聞産業の風景として見つめた。そして、取材、 編集、印刷、配達という一連の流れを、写真と言葉で記録した。

この本のもう一つの特徴は、私たちがニュースを受け取る環境について考えさせる点にある。現在、多くのニュースはスマートフォンやSNSを通じて読まれている。SNSでは、どの情報が表示されるかを、アルゴリズムと呼ばれる仕組みが大きく左右している。また、生成AIの発展によって、ニュース記事の作成や要約、 配信にAIが関わる場面も増えている。

そのため、これからの時代に、人間はニュースとどのように関わるべきなのかが、世界中で議論されている。20世紀において、新聞は社会の中心的な情報メディアのひとつだった。ニュースは人間が取材し、人間が編集し、人間が印刷し、人間が届けるものだった。前日に取材された出来事は、その日の深夜に印刷され、翌朝には配達員の手で読者のもとへ届く。新聞が届く範囲には、物理的な限界があった。しかし、その限界があったからこそ、新聞は小さな地域の出来事や記憶を記録し続けることができた。

京都新聞が現在も続けている取材、編集、印刷、配達の過程を、写真とテキストで表現した写真集『The Newspaper』は、紙の新聞という古いメディアをただ懐かしむものではない。むしろ、情報が一瞬で世界中に広がる時代に、ニュースを人間がつくり、人間が届けることの意味を静かに問いかけている。

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