7月28日(火)から東京都写真美術館で始まった「あしたのひかり 日本の新進作家Vol.17」展に参加する写真家・岩根愛が、新作「あたらしい川」の展示に合わせて新たな作品集『A NEW RIVER』を刊行した。
「あたらしい川」制作のきっかけは、岩根が企画した映画『盆唄』(中江裕司監督、テレコムスタッフ、2019年公開)に出演した、双葉町の太鼓奏者、横山久勝氏が作った曲『さくら』だった。不規則なビートで始まる曲の冒頭を、彼は「誰もいない桜の森を、四つ足で這い回る鬼の足音であり、鬼とは放射能である」と語った。絶対悪ではない「鬼」を放射能だと表現したその言葉から、共存して生きて行く覚悟を感じ、以来鬼とは何かをずっと考えていたという。
新型コロナウイルスの影響で、今年は全国の桜の下から人が消えた。岩根は福島に長期滞在中の4月、避難区域内で桜を撮影したのち、縁あって訪れた岩手県北上の展勝地の桜並木を訪れた。ライトアップが消えた桜の下は、人間と獣の境界が曖昧となり、暗闇を取り戻した獣たちの、歓喜の呻き声に満ちていたという。
前作『KIPUKA』からつながりながらも、「あたらしい川」で新たな境地を見つけた岩根愛の新刊『A NEW RIVER』は、三春、北上、遠野、一関、八戸の五箇所で撮影された桜のほか、各地の伝統芸能の舞の写真で構成されている。
タイトル | 『A NEW RIVER』 |
---|---|
出版社 | |
出版年 | 2020年7月28日 |
価格 | 2,500円+tax |
仕様 | ソフトカバー/257mm×182mm/32ページ/限定700部(サイン・エディションナンバー入り) |
URL |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。