ハイブランドが集結する商業施設から、デザインマンション、カフェ、ホテルまで……。さまざまなシーンを彩るアート写真の数々は、空間にどのような効果をもたらすのか。いま話題のスポットでの導入例からアート写真が果たす役割を紐解く。
文=加藤将太
写真=今津聡子
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LYURO TOKYO KIYOSUMI リュウロ 東京清澄
“隅田川のほとりでアートを楽しむ”
街とのコミュニケーションスペースとしてギャラリーを設置。濱田祐史の写真作品がホテルのキャラクターをより明確にする
隅田川に面する「LYURO 東京清澄」は4月14日にオープンしたばかりのリノベーションホテル。建物と客室の随所に取り入れたコンセプトカラーのブルーは、いうまでもなく隅田川という地域のシンボルからインスピレーションを得たものだ。全25の客室のうち19部屋がリバービューを愉しめるという贅沢な空間設計。1階のギャラリースペースでは、ホテルのデザインを手がけたプロジェクトデザイナー、佐藤利樹さんがキュレーターとなり、川沿いというロケーションを活かす形で濱田祐史の企画展『In Cyan』を開催している。
「濱田さんには数日間、隅田川を往復しながら川の流れを撮影していただきました。移ろいゆく時間を写真に表現するため、日光を長時間露光すると青い色で感光するサイアノタイプという技法でプリントしています。刷毛目の描写もご本人によるものなんですよ」と佐藤さん。「濱田さんの作品は客室にも飾らせていただいていますが、隅田川をモチーフにしたアートフォトが客室にあることで、川と青色というホテルの特徴がより明確に伝わりやすくなりました」
“THE SHARE HOTELS”をテーマに掲げるLYURO 東京清澄は宿泊客だけに開かれたホテルではない。2階部分には開放されたオープンスペースとして、隅田川に面した幅44メートルの「かわてらす」を開設。レストラン、ブルワリーも併設するなど、水辺ならではの時間の過ごし方を楽しめる。ギャラリースペースも同じく、道ゆく人々が自由に訪れることができる場所だ。
「宿泊客以外もホテルにコミットできるように、1階部分にはアートの要素としてギャラリースペースを作りました。街とのコミュニケーションという意味で、道ゆく人々が窓ガラス越しに展示の様子を眺めるシーンをイメージして、もともとあった大きな窓を活かす形の設計になっています。実際に濱田さんの展示作品を大判のプリントにしてレイアウトしたことによって、通行人の方たちがギャラリーに立ち寄るという効果が生まれていますね。清澄白河は海外旅行客が多い街なので、この場所にしかない出会いや体験を提供できる展示を企画していければと思います」
店名 | LYURO 東京清澄 |
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住所 | 〒135-0024 東京都江東区清澄1丁目1-7 |
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2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。