ニューヨークに位置する全米で最大の日米交流団体ジャパン・
2015年、杉本は「劇場」シリーズの撮影で訪れた街が、実は16世紀末に日本からの4人の少年からなる天正遣欧使節が訪れた所だったことを知らされた。それが契機となって、彼らのイタリアでの足跡を追った新作シリーズとなる。斜塔を写したピサ、フィレンツェ、シエナ、ローマ、カプラローラ、アッシジ、ヴェネツィア、ヴィチェンツァ、ミラノで撮影された20点あまりの大型モノクロ写真を展示。そのうちの大半は2016年に制作されている。
Hiroshi Sugimoto (b. 1948), Staircase at Villa Farnese II, Caprarola, 2016. Gelatin silver print. © Hiroshi Sugimoto, courtesy of the Polo Museale del Lazio-Ministry of Cultural Heritage and Italian Tourism.
あるときは月明かりの下で、ある時は夜明け前に撮影された雰囲気を出すため、展示室はかなり照明が落とされている。その中に少年たちの目を驚かせたはずの教会や豪邸の外観や内観、フィレンツェで撮影された10点からなる「天国の扉」のレリーフが浮かび上がる。
この展覧会では、イタリアでの写真だけでなく、東西交流が盛んだった安土桃山時代の南蛮美術や書簡など約30点が展示されている。その流れの中での圧巻は、尾崎光琳の「紅白梅屏風」を撮った作品。これのみプラチナ・パラディウム・プリントが用いられている。「カラー写真はコントロールするのが難しい」という杉本によって、鮮やかな屏風絵も、黒から灰のグラデーションの中で鈍く輝いていた。
© Japan Society / Photograph by Richard Goodbody
Text: Yuriko Yamaki
タイトル | 「天国の扉」 |
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会期 | 2017年10月20日(金)~2018年1月7日(日) |
場所 | Japan Society(アメリカ) |
URL | https://www.japansociety.org/page/programs/gallery/sugimoto-gates-of-paradise |
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