Photobooks of the Month

書店員がピックアップする6月のおすすめ写真集【Shelf編】

The Making of Exiles

ジョセフ・クーデルカ『The Making of Exiles』

東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。

セレクト・文=森屋恵美(Shelfオーナー)


テーマ:放浪する人々

東ヨーロッパのロマをテーマとした『シプシー』シリーズ、そして匿名で発表した「チェコ事件」のドキュメンタリーで高い評価を得た後、母国チェコスロバキアから亡命したジョセフ・クーデルカが放浪の生活の中で撮った『エグザイルズ』。写真家がこの名作を作り上げる過程に焦点をあて、オリジナルの写真集に収められた作品とともに、未出版写真やクーデルカ自身によるキャプション、本のレイアウト、サムネイルの複製、インタビューなどを収録したのが本書です。昨年ポンピドーセンターで展覧会が開催された際に出版されました。何度も再版され、そのたびに少しずつデザインが異なる表紙のすべてを収録するなど、なかなかマニアックな1冊です。

タイトル

ジョセフ・クーデルカ『The Making of Exiles』

出版社

Xavier Barral

価格

8,480円+tax

発行年

2017年

仕様

ハードカバー/300mm×240mm/153ページ/English

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=124909946


ローリングストーン誌などを舞台にルー・リード、U2、デイヴィッド・ギルモアらロックスターのポートレートを数多く撮ってきたイタリア出身の写真家マティア・ゾッペラーロがシプシー(ロマ)をテーマに取り組んできた作品です。イギリス屈指の美しい車窓風景で知られるセトル・カーライル鉄道沿線の小さな田舎町アップルビー。この町では毎年6月上旬にホース・フェア(馬の市)が開催されます。このフェアは単に馬の売買の場というだけではなく、ヨーロッパで最大のジプシーの市として、イングランド・ウェールズ・スコットランド・アイルランドのジプシーが集い、大家族の再会の場としての役割も果たしています。マティア・ゾッペラーロは、中でも遊牧民の起源が残されたアイルランドジプシーの口頭伝承について3年をかけてリサーチと撮影を行ってきました。フェアに集う人々とその帰属精神、アイルランドジプシーの伝統に焦点を当て、個人と集団について問いかける1冊となっています。

タイトル

マティア・ゾッペラーロ『Appleby』

出版社

Contrasto

価格

8,020円+tax

発行年

2018年

仕様

ハードカバー/310mm×250mm/96ページ/English

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=127836629


建築や都市計画をバックボーンに住人と彼らが住む環境との関係に焦点をあて都市景観をドキュメントするステファノ・カネッリによる写真集です。インパクトたっぷりの表紙写真から見て取れるとおり、羊の大移動を追った一部始終が収められています。スイスと国境を接するイタリア北西部のロンバルディア州の羊飼いのグループは、冬に向けてアルプスからポー川流域の牧草地へ、そしてまた夏に向けてその逆の行程を、羊の大群とロバと牧羊犬を連れて移動を行います。この伝統行事で通過する地域は今では都市化されており、傍目にはユーモラスですが、同時に都市地区と周縁地域の遊牧民共同体との摩擦が容易に想像できる光景が生み出されるのです。しかも、ムスリム移民コミュニティの拡大で羊肉の需要が高まり、かつては羊毛のために牧羊していた頃より羊が増えているといいます。壮観な羊の写真の裏にはさまざまな社会状況が秘められているのです。

タイトル

ステファノ・カネッリ『Transumanza』

出版社

Peperoni

価格

6,400円+tax

発行年

2017年

仕様

ハードカバー/250mm×310mm/136ページ/Eng・Ita

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=116292006

Shelf
外苑前にあるブックショップ。写真集を中心とした洋書を専門に取り扱っており、店内には希少な本から絶版書までさまざまなジャンルの写真集が所狭しと並べられている。

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-4
tel / fax: 03-3405-7889
http://www.shelf.ne.jp/