Photobooks of the Month

書店員がピックアップする8月のおすすめ写真集【Shelf編】

ロバート・アダムス『Perfect Places, Perfect Company』

ロバート・アダムス『Perfect Places, Perfect Company』

東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。

セレクト・文=森屋恵美(Shelfオーナー)


アメリカ人写真家ロバート・アダムスがコロラド州のポウニー国立草原で1980年代に半ばに撮影したシリーズです。郊外化していく風景や人為により変容する自然をとらえる写真家として位置づけられることが多いロバート・アダムスですが、ここでは広々とした静寂に満ちた場所で妻や愛犬と過ごす喜びが余すことなく表現されています。1988年に『Perfect Times, Perfect Places』というタイトルで出版され絶版となっていたものが再編集され、今回は2冊組のシックな装いで刊行されました。地平線へと消失していく草原の道にたたずむ小さな愛犬のイメージを表紙に起用した前ヴァージョンも素敵でしたが、30年を経たいまは過去の美しい時間を封じ込めたアルバムのような作りもまた本シリーズに相応しく思えます。

タイトル

ロバート・アダムス『Perfect Places, Perfect Company』

出版社

Steidl

価格

13,010円+tax

発行年

2018年

仕様

ハードカバー/330mm×260mm/108ページ/English

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=133926579


現代美術の世界で著名なニューヨークのギャラリー、デイヴィッド・ツヴィルナーは今年新たに3店目となるギャラリーを香港に設けました。本書は、その香港のギャラリースペースでこの9月から開催されるヴォルフガング・ティルマンス展のカタログです。世の中にはさまざまなイメージが溢れかえり既に飽和状態である中で、写真を作り出すことが何を意味するのか?ジャンルやテーマ、テクニック、展示戦略をシーム レスに統合することで既存メディアへのアプローチ方法を広げ、作品制作の根本的意味を問い詰めるティルマンスの最新作を中心に構成されています。

タイトル

ヴォルフガング・ティルマンス『Dzhk Book 2018』

出版社

David Zwirner

価格

4,450円+tax

発行年

2018年

仕様

ハードカバー/240mm×170mm/100ページ

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=133467009


群衆を装った大人数のキャストに念入りの演出を施して撮影した「Face in the Crowd」シリーズの中の一枚が2013年ParisPhotoのメインイメージに起用されてから5年。日本でも知名度を高めファンを増やしたアレックス・プレガーの、これまでの作品シリーズを見わたす回顧写真集が出版されました。まるでポリエステルの髪を持つマネキンのように見える若い女性のポートレートシリーズ「Polyester」、映画界の巨匠へのオマージュを色濃く感じさせる「The Big Valley」、やはり映画シーンのような設定の中で女性のアーキタイプを描き出す「Week-End」など初期の作品から、目のクローズアップと悲惨な事故現場シーンから構成した「Conpulsion」やプレガーの露出を一気に高めた「Face in the Crowd」、そ してそれ以降2016年までの作品シリーズが年代を追って収録されています。アレックス・プレガーの制作活動の流れやその背景を考える上でおすすめの1冊です。

タイトル

アレックス・プレガー『Silver Lake Drive』

出版社

Thames & Hudson

価格

7,650円+tax

発行年

2018年

仕様

ハードカバー/310mm×250mm/224ページ

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=133227644

Shelf
外苑前にあるブックショップ。写真集を中心とした洋書を専門に取り扱っており、店内には希少な本から絶版書までさまざまなジャンルの写真集が所狭しと並べられている。

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-4
tel / fax: 03-3405-7889
http://www.shelf.ne.jp/