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書店員がピックアップする6月のおすすめ写真集【POST編】

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書店員がピックアップする6月のおすすめ写真集【POST編】 | バティア・スーター『Cloud Service』

バティア・スーター『Cloud Service』

東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。

セレクト・文=錦多希子(POST)

梅雨時期、空に想いを馳せられるような写真集

バティア・スーターは、視覚的な対話を生み出すことに対する関心を抱くアーティスト。自然史の参考書、百科事典、ファウンドイメージ…分野やテイストを問わずにビジュアルイメージを寄せ集め、それを素材として直観、あるいは含意的な側面からひとつの世界を構築するというアプローチが特徴です。最新刊となる本書においては「雲」が軸となり、彼女の感性を拠りどころにして編纂がなされます。めいめいのイメージはその生じた背景こそ異なれど、しかるべき配列に置くという行為を通じて互いに共鳴し、全体を通じて新たな関係性が宿るから不思議です。彼女なりの機知に富んだ采配は、読者に新たな視点を持つことの醍醐味や気付きをもたらしてくれることでしょう。

タイトル

バティア・スーター『Cloud Service』

出版社

Roma Publications

価格

2,300円+tax

発行年

2019年

仕様

ソフトカバー

URL

https://post-books.shop/items/5ce7a2a50376c675f4e4f485


写真家のブノワ・ジャネットによる本作は、哲学者・作家・アーティストであるアンヌ・コクランの唱えた「風景とは、表現を通じてのみ存在する作り事だ」という観念から着想を得ています。息を呑むほど美しい青空や水面、荒涼とした岩場、鉱物の独特な質感…風景の構成要素によるタイポロジー的アプローチは自然界の壮大さを際立たせ、すっかり心を打たれてしまいます。ですが、あくまで作家の主眼は「情緒と合理主義の間に生じる緊張関係」というところにありました。「風景の地質学的目録」というタイトルには、百科事典的な幻想は魅惑的であると同時に虚無であるという皮肉が込められており、索引内のイメージと説明の間にさえも不条理が潜ぶ。言葉とイメージとの裏腹さによる、不均衡なバランスの上に成り立つものなのです。    

タイトル

ブノワ・ジャネット『A GEOLOGICAL INDEX OF THE LANDSCAPE』

出版社

Mörel

価格

7,500円+tax

発行年

2018年

仕様

ソフトカバー

URL

https://post-books.shop/items/5badf18d50bbc35405001101


梅雨時の鬱蒼とした空模様から一転してようやく青空が垣間見えるとき、誰しも心に光が注がれたような晴れやかな心地となるでしょう。そんな爽快な気持ちにしてくれる写真集があるのでご紹介します。ニューカラーの第一人者であるウィリアム・エグルストンの刊行物のなかでも、特段穏やかで実験的な写真集があります。それはなんと、青空に浮かぶ雲をとらえた写真のみで構成されます。1979年にわずか20部限定で発表された、15点の作品を収録した写真集をもとに編纂されたのが本書です。現代写真界の巨匠もまた、わたしたちと同じように、青空を見上げ、雲の通り過ぎるようすに心を奪われていたのでしょうか。鮮やかな色彩で世界をとらえる彼の目に映る青空と雲の織りなす天空の壮観は、普遍的な魅力を携えています。

タイトル

ウィリアム・エグルストン『At Zenith』

出版社

Steidl

価格

8,300円+tax

発行年

2013年

仕様

ハードカバー

URL

https://post-books.shop/items/5d01c07ac0b0fd4f2303229e

POST(limArt Co., ltd)
恵比寿にあるブックショップ。定期的に取り扱っている出版社が変わり、出版社の個性を感じる事の出来るセレクトになっている。また書店だけではなく、トークショーや展覧会なども開催、本の売り場のコーディネートや本のアーカイブ作成も手がけている。

〒150-0022
東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
tel: 03-3713-8670
月曜定休
http://www.post-books.jp/