23 December 2020

Photobooks of the Year 2020

2020年のベストセラー写真集3冊【shelf編】

23 December 2020

Share

2020年のベストセラー写真集3冊【shelf編】 | 2020年のベストセラー写真集3冊【shelf編】

2020年に売れた写真集は何だろう?昨年に引き続き今年も、それぞれ売れた写真集ベスト3といまオススメの1冊を4つの書店に聞いてみた。あれもあった、これもあった−−と1年を振り返りながら、来年も新しい写真集にたくさん出会えることに想像をはためかせてみよう。第4弾は、写真集を中心に取り扱い、訪れる度に新しく得るものがあるブックショップShelf。話題の新刊から稀少なヴィンテージまで揃え、写真好きが通う書店のバラエティあふれるラインナップをチェックしてみよう。

セレクト・文=森屋恵美(Shelfオーナー)

サラ・ムーン『PasséPrésent』

今年の秋から2021年1月まで パリ市立近代美術館で開催されているサラ・ムーンの『PasséPrésent』展の公式カタログとして出版された写真集。日本でも何度も個展が開催されている人気の高い写真家だが、母国フランスの美術館でこれほど大きな回顧展が開催されるのは初めて。サラ・ムーンらしいざらっとした質感の造本の中の作品は、制作年代順でに並べるのではなく、さまざまな主題の中に各時代を織り込んでいくような構成で収録されている。ファッション写真のスタイルやトレンドが常に変化する中で、1970年代から現在まで長きにわたりトップ・ファッションブランドからも一般の写真ファンからも支持され続けるサラ・ムーンの独特の世界観にどっぷり浸ってみてほしい。

タイトル

サラ・ムーン『PasséPrésent』

出版社

Paris Musee

価格

7,600円+tax

発行年

2020年

仕様

ハードカバー

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=155177655


鈴木理策『知覚の感光板』

ポール・セザンヌの言葉を借りて「知覚の感光板」と名付けられた鈴木理策の写真集。昔のアルバムのような装丁のなかには、セザンヌはもとよりモネ、コロー、ゴッホらが滞在して制作をおこなったフランスのバルビゾン、フォンテーヌブローやカマルグ、エドワード・ホッパーが住んだケープコッドなど19世紀の画家たちが作品を残した場所を訪れて撮影した57点の作品が収められている。ページをめくるごとに明るい陽が注ぎ木々が揺れる風景が現れ、意識が飛びそうな時間がふわっと訪れる。こんな魔法の箱のような写真集を書棚に潜ませておくなんて、素敵では?

タイトル

鈴木理策『知覚の感光板』

出版社

赤々舎

価格

8,000円+tax

発行年

2020年

仕様

ハードカバー・クロス装

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=149441874


アンダース・エドストローム『Spidernets Places A Crew/Waiting Some Birds A Bus A Woman』

スウェーデン出身、雑誌『Purple』の常連の一人でメゾン・マルタン・マルジェラの撮影を手掛けてきたアンダース・エドストロームの2004年の写真集。街中の人々や家族、都会の野鳥、蚊の群れ、蜘蛛の巣など近隣や故郷で撮ったイメージ数点からなる連作が次々と現れる形で構成された2冊組の本。エドストロームはShelfでは人気のある写真家で、もともとこのタイトルもロングセラー化してはいたが、それにしてもこのように15年以上も前に出た写真集があまたの新刊以上に求められるのはなかなか珍しいこと。東京都写真美術館で開催された「写真とファッション 90年代以降の関係性を探る」展で取り上げられたこともあって、再認識されたのかもしれない。

タイトル

アンダース・エドストローム『Spidernets Places A Crew/Waiting Some Birds A Bus A Woman』

出版社

SteidlMACK

価格

3,500円+tax

発行年

2004年

仕様

ハードカバー/クロス装2冊組

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=101427733


▼いまオススメしたい1冊

古屋誠一『Face To Face』

オーストリアのグラーツを拠点に活動する写真家、古屋誠一の久しぶりの新刊。古屋は妻クリスティーネとの出会いから彼女が自ら命を絶つまでを撮影した『Mémoires(メモワール)』を1989年に発表し、その後の約20年間に同シリーズの写真集を4冊発表している。妻の死の衝撃と悲しみ、行きつ戻りつ交差する時間と記憶、心の闇…さまざまな心情を抱え込みながら展開したシリーズは2010年に「メモワール.」として一旦のピリオドが打たれたが、クリスティーネの遺品から彼女もまた古屋を撮影していたフィルムが見つかったことから、お互いの写真を対峙させて構成した写真集が今回実現した。古屋が生涯をかけて取り組んだ「Mémoires」シリーズはこの写真集をもってに終わりを告げる。

タイトル

古屋誠一『Face To Face』

出版社

Chose Commune

価格

8,000円+tax

発行年

2020年

仕様

ハードカバー

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=155737167

shelf
外苑前に店舗を持つ洋書写真集の専門書店。新旧問わず品揃えが豊富なさまざまなジャンルの写真集が並ぶ。

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-4
tel/fax: 03-3405-7889
http://www.shelf.ne.jp/

2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。

Share

Share

SNS