2020年に紹介した写真集テーマ別まとめ「建築」

3 January 2021

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2020年に紹介した写真集テーマ別まとめ「建築」 | 2020年に紹介した写真集 テーマ別まとめ「建築」

近年隈研吾が東京に生み出した建築物を写真家・新津保建秀が撮り下ろした作品集やフランク・ロイド・ライトの代表作をフィーチャーした書籍は、建築好きならおさえておきたいタイトル。そのほか、メキシコ、インド、イランなどの建築写真を通して異文化に触れてみるのはいかがでしょう?

『東京 TOKYO』(KADOKAWA/2020年)新津保建秀が撮り下ろした隈研吾の作品に見る東京論とは?

国立競技場、高輪ゲートウェイ駅、歌舞伎座など2020年の東京を彩る数々のランドマークに携わる建築家・隈研吾。隈は2000年からの20年間で、東京近郊に多くの代表作を生み出した。写真家・新津保建秀が取り下ろした23作が収録された『東京 TOKYO』では、「建築を都市へとひらく」ことを目指す隈が捉える東京の姿、そしてこの都市との対話を探る――まさに隈研吾の東京論とも言える1冊。


Atlas Studio『Lonely Planets』(Kodoji Press/2019)スイスのデザイントリオのロードトリップ作品集

マーティン・アンデレヘン、クラウディオ・ガッサー、ヨナス・ワンダラーらから成るスイスのデザインスタジオAtlas Studioのメンバーが仕事でイランに滞在中撮影した、ロードトリップの記録。3人が旅の途中で見つけたユニークな建築物やそのディテールなどを中心にまとめ、その間に彼らと現地のドライバーとの会話の断片が挿入されている。ランダムな写真の並びとお互いにとって外国語である英語を使った対話の一部は、全貌をつかむことができなかった彼らとイラン文化との距離感、そして彼らの視点や実体験に基づくイランの姿をリアルに表現している。


ヨーン・アーガールド『THE HOUSE ON THE HILL』(私家版/2019)フランク・ロイド・ライト「エニスハウス」からインスパイアされた一冊

ノルウェーを拠点とする写真家であり、グラフィックデザイナーとしても活動するヨーン・アーガールドの作品集『THE HOUSE ON THE HILL』は、オスロ国立芸術大学のグラフィックデザイン修士課程でアーガールドが学んだことが詰め込まれた1冊。

ロサンゼルスのロスフェリスの丘に立つフランク・ロイド・ライトが手がけた「エニスハウス」を撮影した40枚の写真で構成され、建築ライターであり雑誌『Real Review』を主宰するジャック・セルフがエッセイを寄稿している。この大豪邸「エニスハウス」は1920年代に建設され、映画『ブレードランナー』(1982年公開)のプロダクションデザインをインスパイアした建築物でもある。


バルクリシュナ・ドーシ『KAMALA HOUSE』(apertamento/2019)
ヒューマニズムを追求するユニークなインド人建築家

インド人建築家、バルクリシュナ・ドーシの作品集『KAMALA HOUSE』は、インテリア雑誌『apartamento』が敬愛する建築家と彼らの建てた邸宅や、その裏にあるストーリーに焦点を当てるシリーズの第3弾であり、ニューヨーク在住のベルギー人フォトグラファー、クエンティン・デ・ブリエが撮影を手がけている。

ドーシは、1940年代、建築を学ぶために渡英後、パリでル・コルビュジエに師事。1950年代初期には独立したばかりのインドに帰国し建築事務所、サンガトを開設した。ヒューマニズムを追求するユニークなスタイルで注目を集め、公共施設から低所得者住宅、1963年に建てた自宅「カマラ・ハウス」など多岐にわたるプロジェクトを手がけた。妻の名を取って名付けられた「カマラ・ハウス」には、この50年間、一家3世代が暮らしてきた。2018年には建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を受賞している。


アグスティン・エルナンデス『PRAXIS』(apertamento/2020)
モダニズムとメキシコの伝統を融合させた建築家

メキシコ人建築家、アグスティン・エルナンデスの作品集『PRAXIS』も、インテリア雑誌『apartamento』が敬愛する建築家と彼らの建てた邸宅やその裏にあるストーリーに焦点を当てるシリーズの第4弾。写真はアメリカ人フォトグラファー、ライアン・ローリーが撮り下ろし、メキシコ人アーティスト、ルイス・オロスコ・マデロ、キュレーターのカルロッタ・ペレス=ジョフレ、エンリケ・ヒネール・デ・ロス・リオスが寄稿している。

1924年生まれのエルナンデスは、モダニスト的な考え方とメキシコの歴史への誇りの回帰が融合した時期に円熟期を迎えた建築家。コロンブスによるアメリカ発見以前の文明の象徴、神話、都市計画の原理を組み合わせ、威風堂々たる建造物を作るという建築運動の先頭を切った。現代におけるマヤ族の儀式の場として設計した陸軍士官学校から、1975年に自身のために建てたスタジオ兼自宅「Praxis」まで、現代の視点から見ても前衛的な作品を多数残している。