Unseen Amsterdam 2017

「BEYOND 2020」も盛り上がりを見せたUnseen Amsterdam現地レポート

AREA

オランダ

Share

Unseen Amsterdam 2017

若手写真作家の登竜門として名実ともにその地位を確立したUnseen。昨年に引き続き、2017年もBEYOND 2020展を通じて、日本人アーティストが世界の熱い注目を集めた。

文=IMA

去る9月21日(木)〜25日(日)、Unseen Amsterdamがアムステルダム(オランダ)の地で開催された。世界各国のビッグコレクターとトップギャラリーが集結し、ギラギラとしたアートビジネス色の強いパリ・フォトと対局を成す、Unseen。未発表作や若手作家を中心としたギャラリーのラインナップと会場キュレーションが売りで、「現代アート写真の最新トレンドを知るなら9月のアムスへ!」が、アート写真関係者&ファンのあいだでは共通認識になっているほど注目度は高い。

円筒形のレトロなガス塔とその周辺施設をリノベーションした趣きある建物を舞台に、総勢50を超えるギャラリーが放射線状に並んだ展示ウォールを作品で埋め尽くす光景は、いつ見てもオリジナリティ溢れていてとても印象的。「景気は上向き」といわれるオランダの経済的背景もあってか、平日、週末を問わず、来場者とギャラリストの熱心なやりとりが各ブースで見られ、実際に話をしたギャラリーの多くも笑顔で好調な作品の売れ行きに息を弾ませていた。


Unseen出展2年目となったBEYOND 2020

IMA galleryも当初はギャラリー枠で、水谷吉法や石橋英之らの作品を中心にフェア参戦していたが、昨年より日本人若手作家の“海外進出”をさらに力強くサポートする方向に軸足を移し、「LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS」(以下、BEYOND 2020)と題したグループショーでUnseen出展を果たしている。このプロジェクトはパナソニックとコラボレーションして、日本人アーティストを国外へと積極的にプッシュしていく試みで、開催5回目を数える今年は、「ポストトゥルース時代のポートレイト」というテーマのもと、平澤賢治、菅野恒平、白井晴幸、上田順平、矢島陽介、山谷祐介の作家6名の作品をお披露目した。

Unseen Amsterdam 2017


会場から人が溢れる盛況ぶりを見せたトークショー

毎年Unseenが開催される緑豊かな公園、ウェスターパーク敷地内に建つ戸建スタジオを会場としたアムステルダム2年目のBEYOND 2020。金色に輝くリストバンドを手首に巻いたVIPやプレス関係者のみが招待された初日夜のレセプションから来場者の注目を大いに集め、日本から駆けつけた作家たちが、過去の作品や写真集までをも動員して作品に関する数々の質問に真摯に答える場面が多く見受けられた。

クロージングを迎える日曜日までの続く3日間も、来場者の流れは切れ目なくコンスタントに続く盛況ぶりだったが、会期を通しての最大のハイライトは、土曜日夕方に開催したトークイベント。パリ在住の写真評論家/キュレーター、マーク・フューステル氏をモデレーターに、渡欧した作家5名がそれぞれの作品をプレゼンテーションした。共通の展示テーマをもちながらも、コンセプト、スタイル、撮影方法などが大きく異なる、新進作家たちへの海外オーディエンスの興味・関心は想像していた以上に高く、会場に収まりきれないほどの人数が詰めかけた。用意した椅子が足らず会場の床に座ってでも、作家の生の声に耳を傾けていた姿はとても印象的だった。

Unseen Amsterdam 2017

Unseen Amsterdam 2017


ちょっとおバカでエッチな「フォト・プレジャー・パレス」

Unseenが掲げる「若手作家サポート」の信念を具現化するカタチで、数々のアワードやファンドなどが一般公開の会期中に授与されたが、並行して、写真というメディアの新しい可能性を探る実験的なプロジェクトも、ひとえに“Unseenらしく”エッジが効いて、興味深い内容だった。「CO-OP」と名付けられた初開催の試みがその一例で、バングラデッシュ、フランス、ネパール、イタリア、ドイツなど世界各国から国籍も文化もバックグラウンドも異なる13のコレクティブが集まり、今回のUnseen出展のためだけに考案したインスタレーションを展示した。ライブオークションやラジオスタジオをセットアップしたパフォーマンスなどもあり、ほかの写真フェアとは趣向のまったく異なるキュレーションはUnseenならでは。

Unseen Amsterdam 2017


ほかにも、大人から子どもまで誰もが楽しめるスポットとして用意された「フォト・プレジャー・パレス」も変化球の参加型アトラクションとして人気を集めた。いうなれば、写真をテーマにした遊園地的スペースで、オランダを代表するアーティスト、エリック・ケッセルスとトーマス・メイランダーが、ちょっとおバカでちょっとエッチなゲームや展示を特別考案したコンテンツだ。巨大マットレスの上に貼り付けられた、同じく巨大なトランプ大統領の顔写真めがけて高台から飛び降りる「ジャンプ・トランプ」や、壁一面に並べられた額装写真に力一杯ボールを投げつけ、見事命中してフレームのガラスが割れたら、その写真(と割れたガラス)をフレームごと持ち帰ることができる「スマッシュ・ギャラリー」など、どれもがクスッと微笑んでしまう遊び心満載なゲームの連続で、来場者は年齢を問わず童心に戻って楽しんでいた。

Unseen Amsterdam
https://unseenamsterdam.com