ニューヨーク近代美術館(MoMA)で大回顧展を開催中のスティーブン・ショアが、2000年から数年に一度個展を開いているチェルシーの303ギャラリーで新作を発表している。
今回の展示はすべて、昨年前半から使い出した中判のハッセルブラッドX1Dで撮影したもの。精密な画像と高性能ピグメントプリントにより、縦163×横122cmという超大型の美しいプリントが可能になった。取材でショアに会ったときも「8×10のヴューカメラで撮ったのよりも、もっと精密なプリントができるんです」と絶賛していた。
展示作品9点が、2年前に新築ビルに移動して天井が高くなったギャラリーの壁に映える。珍しく縦構図だが「長い間、横構図で撮ってきたので、縦構図を極めたかった」ということだ。日々撮っているインスタグラム用の正方形画面に対する新しい挑戦だったのかもしれない。
ギャラリーのウェブサイトのショアのページでは、この新作シリーズは「Details(細かい部分)」と題されている。おなじみのショーウィンドウもあるが、地面に落ちたタバコの吸い殻や紙袋、石、枯れ木などのクローズアップが多い。最近のインスタグラムにもよく出てくるので、ショアがいま興味を惹かれる対象のひとつなのだろう。実際、インスタグラムに同じ被写体の別アングルのものが投稿されている例があった。
過去の成功に浸ることなく「技術の発達によって、それまでは不可能だったレベルの美的な可能性を追求する」というショア。その前進する“いま”を見てから、再び回顧展に目を向けると、この作家の仕事ぶりが尚更よくわかる。次の回顧展で、このシリーズがひとつのコーナーを占めることにもなるかもしれない。
ショア(中央)も出席したオープニング。Photo by Yuriko Yamaki
Text by Yuriko Yamaki
タイトル | 「STEPHEN SHORE」 |
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会期 | 2018年1月11日(木)~2月17日(土) |
場所 | 303 Gallery(アメリカ) |
URL | http://www.303gallery.com/gallery-exhibitions/stephen-shore6 |
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