国内外の写真やダミーブックの賞へ応募する、ポートフォリオレビューに参加するなど、写真家がグローバルに活動していくチャンスはますます開かれている。これから世界を目指す写真家のために、国内外のアワードなどをジャンルごとにリストアップ。第三弾は、海外では一般的に知られてきたダミーブックアワードを紹介。まだ発売前の写真集を対象にしているが、写真集を出版したいだけではなく、自分の作品を世に知らしめるチャンスにもなる。写真集として作品をアウトプットする需要がますます高まる中、IMAがお勧めする、海外のダミーブックアワードを厳選して紹介。
イタリアの出版社La FábricaとPhoto Londonが共同で行うダミーブックアワード。良質でユニーク、かつ国際的な視野を提示する写真集の発掘と出版を目的として始まった。20冊の最終候補の中からグランプリが選出される。昨年度の最終候補者リストには日本人の作家も二人含まれている。『IMA vol.25』でも紹介した、最優秀賞受賞者のアルーナ・カネヴァシーニをはじめ、多くの候補者らがこのBook Dummy Awardのみならず、Unseen Dummy Awardなどほかのアワードも同時に受賞していることから、質の高い作品が選び抜かれているといえるだろう。
【応募資格】
年齢、国際不問
【応募作品】
・テーマ性のある未発表のダミーブック一冊
・PDFは受付不可、ダミーブック原本の郵送が必要
・プロジェクトの内容、略歴を含む申込用紙を提出(英語で記入)
【応募スケジュール】
2018年5月17日(木)~10月19日(金)
【応募費用】
25ユーロ
【賞】
・La Fábrica から1,000部以上の写真集の出版され、世界中に流通される
・PHotoEspañaやPhoto Londonなど国際的写真フェスティバルや展示会での展示
・La Fábrica、Photo London、『British Journal of Photography』などの公式メディアを通じての普及キャンペーン
・マドリッド La Fábrica の写真ギャラリーにおける展示
【昨年の審査員(2018年はまだ未発表)】
Mónica Allende/Michael Benson/Álvaro Matías/Simon Bainbridge/Cristina de Middel/Susan Bright/Rodrigo Orrantia/Fernando /GutierrezStephen Gill
【主催】
La Fábrica、Photo London
【公式サイト】
http://www.lafabrica.com/bookdummyaward/index-en.html
現代写真を牽引するプラットフォームとして知られるUnseen主催のダミーブックアワード。最終候補者の作品はアムステルダムで開催される国際写真フェスティバルUnseen 2018(9月21日〜23日)で展示され、優勝者の作品は会期の初日9月21日に発表される。2012年度に最優秀賞を受賞した日本人写真家の大谷臣史は、その後アムステルダムのFoamや東京のG/P galleryを含む国内外の多くのギャラリーで展示を行っている。ヨーロッパをはじめとする多くのキュレーターが注目するUnseenでの受賞は、写真作家のキャリアにおいて大きな転機となるだろう。
【応募資格】
すべてのデザイナーおよび写真家、年齢、国籍不問
【応募作品】
出版されていない未発表の写真集を郵送(PDF不可)
【応募スケジュール】
2018年4月1日(日)~8月10日(金)
【応募費用】
30ユーロ
【賞】
優勝者作品は出版され、国際的に流通される
【審査員】
Paul van Mameren(Lecturisディレクター)/Ann-Christin Bertrand(C/O Berlinキュレーター)/Rémi Coignet(『The Eyes Magazine』編集長)/Delphine Bedel(写真家/キュレーター)/Dieter De Lathauwer(写真家/2016年度 Unseen Dummy Award 優勝者)
【過去受賞者】
『Cry of an Echo Malgorzata』Stankiewicz(2017年)/『I Loved My Wife (killing children is good for the economy)』Dieter de Lathauwer(2016年)/『Tiger 2』Yoshinori Masuda(2015年)/『Unusual View of Unknown Subjects』Simon Rimaz(2014年)
【主催】
Unseen
▼今年の募集は終了、または応募要項が出ていない世界のダミーブックアワード
イタリアのフォトブックフェスティバルCortona On The Move主催のダミーブックアワード。今年3年目となる新しいアワードで、初年度は日本人の奥山美由紀が受賞している。作品を応募する時点で、紙やフォントを含む製本デザインが出版時の最終形に近いことが求められ、写真に限らず製本にも工夫とこだわりが感じられることが重要となる。
【応募資格】
年齢、国籍、プロ・アマ不問
【応募作品】
・製本デザイン、内容共に完成されたフォトブック(テキストは応募者の第一言語で書くこと)
・作品原本に加えてPDFを送付すること
【応募スケジュール】
来年度未定
【応募費用】
無料
【賞】
・フォトブックの製本、出版
・COTM 2019での作品展
【審査員】
Lesley Martin(Aperture)
【過去の受賞者】
『Make a Wish』Loulou D’Aki(2017年)/『Dear Japanese Children of War』奥山美由紀(2016年)
【公式サイト】
http://www.cortonaonthemove.com/en/open-calls/photobook-prize/
Fotobookfestival Kassel の一環として、出版社Verlag Kettlerとのコラボレーションで開催されるダミーコンペティション。最終選考に残った50冊の作品から、国際的に活躍する審査員により、最終的に3冊が選ばれる。最終選考に残ると、Fotobookfestival Kasselをはじめとするさまざまな国際的写真イベントでダミーブックが展示されるほか、最優秀作品はVerlag Kettler社により写真集として出版される。2010年に始まり、毎年400冊前後の作品が世界中から応募される大規模で倍率の高いコンペティション。
【応募資格】
年齢、国籍不問
【応募作品】
まだ出版されていないフォトブック
【応募スケジュール】
来年度未定
【応募費用】
36ユーロ/一冊
【賞】
3名の受賞作品が選ばれ、優勝者作品はVerlag Kettle社から写真集が出版される
【審査員(2018年度)】
Valentina Abenavoli(Akina Books)/Anne-Katrin Bicher(Montag Stiftung)/Sonia Berger(Dalpine Publishers)/Andrea Schmidt(Verlag Kettler)/Frederic Lezmi(写真家)/Markus Schaden(The PhotoBookMuseum)/Salvatore Vitale(写真家/『YET Magazine』 編集長)/Dieter Neubert(Fotobookfestival Kasselディレクター)ほか
【公式サイト】
https://fotobookfestival.org/kassel-dummy-award-2018/
アルル国際写真フェスティバルの一環として2015年から毎年行われているダミーブックアワード。25000ユーロ(日本円でおよそ320万円)の予算を費やし、新しい写真家または写真を使ったアーティストの写真集出版を行う。プロの写真家を対象とし、過去に写真家として、または写真を扱うアーティストとして、グループ展または個展に参加した経験を持つこと、また国内でまたは国際的に認知度があることが求められる。
【応募資格】
年齢・国籍不問、プロの写真家
【応募作品】
・まだ出版されていない写真集
・一冊に限る
・複数人のコラボレーション作品可
【応募費用】
無料
【応募スケジュール】
来年度未定
【賞】
・25名の最終候補者の作品はアルル国際写真フェスティバルにて展示
・優勝者作品は アルル国際写真フェスティバルと出版社(未定)が共同で製本、出版
【公式サイト】
https://www.rencontres-arles.com/en/luma-rencontres-dummy-book-award-arles-2018/
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。