Art Photo Pilgrimage

八ヶ岳、アートフォト探訪の旅

AREA

山梨県

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Audi Q7

[t]細江英公[/t]細江英公が館長を務める清里フォトアートミュージアムの存在のみならず、多くの写真家が拠点を構え、またアートフォト作品の舞台ともなってきた八ヶ岳エリア。旧来から避暑地としてのイメージが強いが、実はアート写真との縁はとても深い。気鋭のギャラリーも点在しアート熱が高い山麓を1泊2日でドライブするアート巡礼の旅。

文=加藤将太
写真=砺波周平

山梨県と長野県の境を南北に延びる形で位置する八ヶ岳は、高原リゾートのメッカとして人気を集めてきたエリアだ。近年は、その雄大な自然に憧れて移住する人も増えているが、写真家たちもまた豪快な山容や豊かな緑に魅了され作品を制作したり、海外での活躍がめざましい山本昌男や山内悠のように、移り住んでアトリエを構える写真家も少なくない。


写真家との関係のみならず、アートフォトの関連施設が存在するのも八ヶ岳周辺エリアの特徴だ。今回は、そのひとつひとつを訪れるために八ヶ岳を目指した。風光明媚な八ヶ岳山麓、白樺湖、車山高原を横目に、心地よい風を浴びながら高原ドライブを楽しんでいくと、まずは細江英公が館長を務める清里フォトアートミュージアムに到着する。1995年の開館以来一貫しているのは、世界の写真家を育てる「ヤング・ポートフォリオ」という活動。これは、35歳以下の写真家による創造性に富んだ作品を公募し、美術館の永久コレクションとして収蔵することで、後世に残すことを目的にしている。当館で定期的に開催されるヤング・ポートフォリオ展では、世界の写真家の原点に触れ、若き写真表現に宿る情熱を感じ取ることができる。

Day1 10:00
Kiyosato Museum Photographic Art
清里フォトアートミュージアム

山梨県北杜市高根町清里3545-1222
http://www.kmopa.com

清里高原の澄みきった大気と深い緑の中に佇む、日本でも数少ない写真専門美術館。館長は細江英公。最大の特徴は35歳以下の写真家によるユニークな作品を公募・永久収蔵するヤング・ポートフォリオという活動だが、プラチナプリントもコレクションするなど、貴重かつ圧倒的なアーカイブを誇る。館内には収蔵作家の写真集も書棚にずらりと並んでいて、閲覧できる。

細江英公《おとこと女 #20》1960年 Eikoh House

細江英公《おとこと女 #20》1960年 Eikoh House


Audi Q7

八ヶ岳エリアのワインディングを駆け抜けるAudi Q7。並外れたポテンシャルを発揮するパワートレインと、芸術作品のようなデザインを纏ったプレミアムSUVはアートを巡るドライブのパートナーに相応しい。


杉本作品を絶品ランチとともに堪能

続いては廃校跡地をアートコロニーとして再生した清春芸術村へ。安藤忠雄、藤森照信、谷口吉生、吉田五十八といった巨匠建築家による展示施設には、岡本太郎、ジョルジュ・ルオー、アントニ・クラーベらの貴重な作品が収蔵されている。また、パリにある芸術家のコミューン、ラ・リューシュを再現した建物では、本家同様に一部の部屋をアトリエ兼住居として利用することが可能だ。清春芸術村でのアート鑑賞の後は、隣接する料理店・素透撫にてランチ。文人画家である小林冬青の邸宅を鎌倉から移築し、杉本博司と榊田倫之が新素材研究所として内装設計を手掛けている。館内には写真家でもある杉本の作品4点を展示。希少部位である“シンシン”を使った甲州ワインビーフに舌鼓を打ちながら、滋味深いモノクロ写真をじっくりと味わう。数百本の竹箒で作られた箒垣も見事だ。


旅の宿に選んだのは、築200年以上の古民家を新潟から移築して生まれたオーベルジュ、紬山荘。モダンで贅沢な空間に展示されているのは、内田将二、藤井保、繰上和美による作品。食事で訪れるのもいいが、せっかくなので2部屋限定の客室に泊まり、誰もいない時間帯にゆっくりとアートフォトを鑑賞したいもの。打ちたての十割蕎麦と旬の厳選素材を使ったコースディナーを味わいつつ、八ヶ岳の夜は更けていく。


Day1 13:00
Kiyoharu Art Colony / Stove
清春芸術村 / 素透撫

山梨県北杜市長坂町中丸2072
http://www.kiyoharu-art.com

山梨県北杜市長坂町中丸4551
http://www.stove-kiyoharu.com

清春芸術村は、かつて存在した土地の名を冠し、作家の創作と交流の場として蘇らせた集合アート施設。収蔵作品と建築のほか、樹齢100年にもおよぶ桜の樹も見どころだ。隣接する料理店・素透撫を設計したのは杉本博司と榊田倫之の新素材研究所。杉本の写真も配された空間はモノトーンで統一されている。右上写真は、杉本の『Palms, Michigan』。

清春芸術村


Day1 18:00
Tsumugi Sanaou 紬山荘

山梨県北杜市高根町村山西割3113-2
http://www.tsumugisansou.jp

昼は蕎麦、夜は予約制ディナーを提供するレストランと、1日2組限定の客室から成るオーベルジュ。風情のある日本家屋は新潟から移築したもの。贅沢な和の空間にはモダンなインテリアが映える。宿泊は、1泊2食で38,880円(税込み、サービス料10%別途)となっている。内田将二の作品が和のインテリアに囲まれ鎮座する。

紬山荘


Audi Q7

小高いロケーションにあるevam eva yamanashi周辺からは、南アルプスのほか、山梨を象徴する甲府盆地を眺めることもできる。LEDヘッドライトが灯されたAudi Q7の向こうには、ライトアップされた甲府盆地の夜景が広がる。自然風景と街が織りなすアートのようなランドスケープはため息が漏れるほどに幻想的。アート巡礼の旅情が一気に高まる。


愛犬テトが出迎えるギャラリートラックス

鳥のさえずりが朝の訪れを報せる。紬山荘を発った後はギャラリートラックスへ。自ら空間をデザインした故・木村二郎から現オーナーの三好悦子に受け継がれた気鋭のアート空間は、人里離れているにもかかわらず訪れる人々の姿が後を絶たない。これまでに川内倫子大森克己高橋恭司などの写真展以外に、五木田智央、角田純、伊藤桂司、坂口恭平らのドローイング展なども企画してきた。根強い人気を誇る理由は、展示の独自性と作家たちのネームバリューだけではない。看板犬のテトが展示空間に現れると、思わず笑みがこぼれてしまう。そんなアートへの敷居の高さを感じさせない点も、この場所が愛される理由なのだろう。


日が落ちはじめると同時に北杜市を離れ、南アルプスの麓に車を走らせる。evam eva yamanashiは天然素材に特化した山梨発のアパレルブランドevam evaの地元初となる旗艦店だ。長い構想期間を経てたどり着いた場所は広大な屋敷跡。敷地内はevamのプロダクトを扱うショップと四季折々の素材を味わえるレストラン&茶房、そして様々な展示やワークシップを開催できるギャラリースペースから構成される。現在は工芸品の展示がメインだが、今後はアートフォトの展示も企画していく予定。南アルプスを一望できる贅沢なロケーションに佇むこの新ギャラリーには、作家にとって新たな発信の場になり得る風格と可能性が漂っていた。

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こうして1泊2日のアートフォトを巡る旅はフィナーレを迎える。八ヶ岳の自然の中に佇む芸術と向き合った旅は、単なる美術鑑賞としてだけではなく、かけがえのない人生体験となって記憶に残ることだろう。

Day2 11:00
Gallery Trax ギャラリートラックス

山梨県北杜市高根町五町田1245
http://www.eps4.comlink.ne.jp/~trax/main/top.html

全国のアートファンがはるばる足を運ぶローカルギャラリーの代表格。本誌でも取り上げてきた写真家をはじめ、気鋭のアーティストを紹介、その独自性の高い展示企画は常に注目を集めている。個人オーナーが手がけるギャラリーでありながら、八ヶ岳から全国にアートカルチャーを発信する唯一無二のギャラリー。左上写真は、訪れるアートファンを出迎える看板犬のテト。

清春芸術村


Day2 15:00
Evam eva yamanashi エヴァム・エヴァ・ヤマナシ

山梨県中央市関原885
http://evameva-yamanashi.com

山梨発のアパレルブランドevam evaの県内初となるフラッグシップショップは、かつて屋敷として使われていた広大な土地を大掛かりにリノベーションしたもの。敷地内には洋服の店舗に加え、レストランとギャラリーも設置。しなやかな生活様式を発信する場所として注目を集める。


MAP

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東京方面から首都高速と中央道を経由して、八ヶ岳エリアまでは車で2時間ほどの距離。八ヶ岳は日本百名山に数えられる著名な登山スポットであると同時に、名水の産地としても知られている。天然水を味わったり、白樺湖や諏訪湖を訪れたりするなど、アート以外の楽しみもたくさんある。