身近にある自然をモチーフに、幻想的な風景を写し出すテリ・ワイフェンバックと、日本を代表する写真家の一人として海外でも広く知られている川内倫子。同じ女性写真家であり、お互いの写真集を持っていたという二人が、2011年からプライベートな交流としてメールで続けていた往復書簡。それが写真を送り合うというひとつのプロジェクトとして発展したのが「Gift」です。
ここでは、届けられた写真にお互いが呼応し合っていくことで、写真が相互に連なっています。例えばワイフェンバックの水面の写真に対して、川内は植物の穂先にしたたる朝露の写真を送り、ワイフェンバックの草の写真に対して、川内がふわふわとした子どもの髪を送るというように、反応は連鎖し、彼女たち自身の物語が紡がれて行きます。これらのヴィジュアルシークエンスは、川内自身が写真集の構成を考える際に用いる、作品制作においても重要な要素でもあります。
遠くで暮らす誰かへの贈り物のように、移りゆく季節を共有するために、あるいは一緒に見た夜の月への思い出として、写真はさまざまな感情を媒介します。ワシントンD.C.と東京という別の場所で暮らしながらも、一人の人として真摯に交わす写真の贈り物。二人の写真家によって生み出されたささやかな物語は、私たちを写真が繋ぐ詩的な世界へと導きます。
会期 | 2014年4月27日(日)~6月22日(日) |
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会場 | |
時間 | 11:00~22:00 |
休廊日 | 不定休 |
観覧料 | 無料 |