14歳で作品がニューヨーク近代美術館に収蔵されたという奇跡を起こして以来、ひたすらに写真の真実を追求する道を歩んできたスティーブン・ショア。ひとつのスタイルに固執することなく、それまでの成功に甘んじることなく、自らの思考のプロセスに応じてカメラを持ち替え、さまざまなフォーマットで身の周りの世界と時間をかけて向き合い、真摯にとらえ続けてきた。写真史に大きな足跡を残し、いまもその歩みを止めないショアの禅僧のごときストイックな探求の過程においては、多彩な作品群から彼の選ぶ言葉のひとつひとつまでが、まるでメンターから語られる「写真の秘密」についての教えのようだ。そこから私たちは、何気ないアメリカの日常風景にショアが見てきたものが、彼をインスパイアしてやまないルネサンスの巨人たちの視点の先にあるものと同じことに気づかされるのである。同時代にこの偉大な写真家が存在したことは、観る者にとっても撮る者にとっても類稀なる僥倖、そう感じずにはいられない。
PRICE:2,500円+tax
Contents
#StayHomeAndPlay うちで遊ぼう 小池健輔
CELINE × Andre Butzer
現代写真の求道者、スティーブン・ショア
「Transparencies: Small Camera Works 1971-1979」
スティーブン・ショア作品アーカイヴ
「The Velvet Years」「Conceptual Sequences」「American Surfaces」「Uncommon Places」「Elements」「New York City」「Survivors in Ukraine」「Details」「Instagram」
写真の“超然”を求めて 文=レベッカ・ベンガル
Form and Pressure 文=スティーブン・ショア
ショアの『カメラの本質』 文=海原力
スティーブン・ショアから学んだこと 文=金山貴宏
スティーブン・ショアのインスピレーション源
10組の写真家からショアへの10の質問
トッド・ハイド/ ルーカス・ブレイロック/グレゴリー・ハルペーン/アレック・ソス/タイヨ・オノラト&ニコ・クレブス/アレックス・プレガー/ダニエル・ゴードン/インカ&ニクラス/ 石野郁和/伊丹豪
「道」を極めんとする写真家たちの対話
スティーブン・ショア×ジョージ・マイルス
Attention 文=スティーブン・ショア
STEP OUT! vol.28 松井祐生
「Ginza Tokyo 1964」 伊藤昊
マーキュリーセブンを手に立っている 文=朝吹真理子
今日の東京、私たちの風景
小山泰介/顧剣亨/永田康祐/ 渡邉庸平/池田礼/野々山裕樹/岡田舞子/王露
GINZA MAISON HERMES by RINKO KAWAUCHI
連載
TOKYO and ME vol.14 コリー・ブラウン
New Books 注目の新刊情報
Cinema 写真にまつわる映画情報
Catch Up 世界の写真ニュース
How They Are Made 新しい写真が生まれる現場 vol.20 畑直幸
Selected Articles
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「Transparencies: Small Camera Works 1971-1979」
代表作「Uncommon Places」を撮影する旅の道中にライカで撮られたこれらの写真群は、コミッションワークであったものの長年発表されることはなかった。ショア自身が写真のスライドを見つけ、今年MACKから写真集が刊行されたばかりの本作を紹介する。
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スティーブン・ショア作品アーカイヴ
1960年代の初期作「The Velvet Years」から始まり、70年代の代表作「American Surfaces」「Uncommon Places」、2014年から継続中のInstagramまで、ショアの全キャリアを通して作品を振り返る。
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10組の写真家からショアへの10の質問
トッド・ハイド、アレック・ソスから伊丹豪まで、10組の写真家たちが、お気に入りのショア作品についてコメントし、大先輩への質問をひとつだけ投げかける。十人十色の質問とショアの当意即妙な回答によって、作品が多角的にひもとかれていく。
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「Ginza Tokyo 1964」
伊藤昊オリンピックに沸く1964年、東京・銀座の街と行き交う人々を撮り続けた写真家がいた。高度経済成長期の活気あふれる街並み人々の姿が、60年もの年月を経ていま再び新鮮に浮かび上がる。
Contributors
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。