いま人類は未曾有の危機を迎えている……といわれているけれど、たまたま同時期に世界共通の「敵」に向き合っているだけで、歴史を振り返れば、私たちは常にあらゆる危機に直面してきた。いまもそれぞれの国や民族やコミュニティやジェンダーが個々の深刻な問題と対峙し、格闘している。写真はウイルスを撲滅することも、貧困を解消することも、紛争を仲裁することも、差別を撤廃することもできない。しかし目の前のものを可視化し、言葉を持たない人々の思いを伝え、私たちが気づいていなかったさまざまな事象を教えてくれる。アーティストたちは現在をとらえ、未来を示唆することをやめない。今号では33名のアーティストに作品を通して向き合うテーマとそれに対する彼らなりの答えを問いかけた。私たちは行動がどんなに制限されようとも、彼らの写真を通して世界中を旅することで、そこに潜む問いに気づくことができるのではないか?悲観している時間はない。いまこそ、写真に目を向けよう。
PRICE:2,500円+tax
Contents
写真が描く世界のいま
写真家はどちら側にいるか? 文=池澤夏樹
カータ・ゲイブル/モナ・クーン/テリ・ワイフェンバック/ヴァサンタ・ヨガナンタン/カート・トン/チョウ・アンド・リン/アレキサンダー・グロンスキー/グラシエラ・イトゥルビデ/クリスト&アンドリュー/ソン・ニアン・アン/マリア・グルズデヴァ/顧剣亨/ 張克純/カティア・ストゥーケ&オリバー・ジーバー/グレゴリー・エディ・ジョーンズ/ハンナ・ダラビ/エリック・ケッセルス/ニック・ワプリントン/ チャーリー・エングマン/小原一真/ 志賀理江子/曹良賓/藤原聡志/長島有里枝/バラット・シッカ/エルサ・レイダー/オリバー・チャナリン/ 森栄喜/ピクシー・リャオ/ジャブラーニ・ドゥラミニー/アリス・マン/ソラブ・フラ/クリスティーナ・デ・ミデル&ブルーノ・モライス
アートが呼び起こす連鎖反応 文=チョウ・アンド・リン
社会運動における政治的展望と写真 文=カティア・ストゥーケ&オリバー・ジーバー
死までの、自然までの、現代社会の中で人間である私からの「距離」 文=志賀理江子
女性のポートレイトにおける美の基準と教育の必要性 文=長島有里枝
写真というメディアの脱植民地化 ジャブラーニ・ドゥラミニー インタヴュー
STEP OUT! vol.29 溝渕亜依
アフリカ系アメリカ人写真家が紡ぐ、もうひとつの写真史
美術史家シェリル・フィンレーに訊く アフリカ系アメリカ人がとらえる「自画像」を求めて 文=八巻由利子
キャリー・メイ・ウィームズ/ダンジェロ・ロベル・ウィリアムズ/ジョシュア・ラシャード・マクファデン/ザビエラ・シモンズ
GINZA MAISON HERMÈS by DAISUKE YOKOTA
連載
TOKYO and US vol.15 シェルテンス&アベネス
Catch Up 世界の写真ニュース
Collector’s Eye vol.5 デイヴィッド・ソロ
Photobook Chronicle vol. 4 『Doors』/『BUKUBUKU』
How They Are Made 新しい写真が生まれる現場 vol.21 石塚元太良
Selected Articles
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写真が描く世界のいま
さまざまな場所で活動する33名のアーティストに、作品を通して向き合うテーマと問いかけ、彼らがそのテーマをどのように写真で取り組んでいるかを写真とテキストで紹介する。いまこの時代の写真の可能性を探る、90ページに及ぶ総力特集。
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アフリカ系アメリカ人写真家が紡ぐ、もうひとつの写真史
アフリカ系アメリカ人写真家に焦点を当て、その歴史を俯瞰するとともに4名の作家を紹介し、活動の断片を伝える。主にアイデンティティの問題を扱ったそれらの表現は、人種の枠を超えて、さまざまな現代の問題と向き合う術、あるいは気づきとなるだろう。
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GINZA MAISON HERMÈS by DAISUKE YOKOTA
銀座のメゾンエルメスのガラスキューブの中では、オープン以来、さまざまなアーティストによる展覧会が繰り広げられ、映画が上映されてきた。気鋭の写真家、横田大輔がその姿を独自のスタイルで撮り下ろす。
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新しい写真が生まれる現場 vol.21 石塚元太良
ユニークな制作技法で写真表現を拡張する、気鋭の写真家をフィーチャー。 連載第21回では、8×10カメラを抱えて世界中を旅しながら、緻密な暗室作業で精巧なプリントを生み出す石塚元太良のスタジオを訪ねた。
Contributors
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。