01 December 2020

“意識として過去”の中に仕舞われた自身の人生を呼び起こし、新たに現像した全作未公開作品、蓮井幹生「For yesterday」展

01 December 2020

AREA

東京都

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『For yesterday』シリーズより、2020年、ゼラチンシルバープリント、各20x30cm、エディション10 ©️ Mikio Hasui

『For yesterday』シリーズより、2020年、ゼラチンシルバープリント、各20x30cm、エディション10 ©️ Mikio Hasui

蓮井幹生「For yesterday」展が、12月10日(木)より祐天寺・WHYNOT, TOKYOで開催される。

本展は「網膜に写るものに意識が反応した時に写真という行為は始まる」と語る蓮井が、「意識として過去」の中に仕舞われた自身の人生を呼び起こし、新たに現像した全作未公開の作品展。会場では各写真に作家によるテキストが寄せられる。作家の自己開示によって、時代を超え再び現出した「網膜が像を捉えた瞬間」。現像ののち、目の前に提示された人生の確かなひとときを目撃する鑑質の経験は、私たちを「大切なものとは何か」という普遍的な問いかけへ誘うものとなるだろう。

「時間は、本当は過去に流れているのだ。」という作家の独白は、人がそこに生きることの拶さや弱さをより一層印象付ける。「For yesterday」において、蓮井がライフワークとして取り組んできた水平線に向けられた眼差しは水面を見下ろし、抽象的な光と色彩は分断される世界の光と闇として写し出される。水面の揺らぎ、不安定な構屈で撮られた街角で路る老婆、親子が共に過ごした病床での静かな午後。「そこに存在した」という確からしさは願いとして作品に結実していく。手放した光景、あるいは手放さざるを得なかった光景に新たな生を与える「For yesterday」。

作家自身の意識が過去から呼び起こされて見るものの心に静かに浸みわたるとき、私たちのそれぞれが持つ私的な記憶も再び思い起こされる。過去を未来として受け入れることで始まる「生かされていること」の再認識は、私たちに明日を見つめる眼を与えてくれるのかも知れない。

タイトル

「For yesterday」

会期

2020年12月10日(木)~12月27日(日)

会場

WHYNOT, TOKYO(東京都)

時間

13:00~19:00

休館日

月~水曜

URL

https://whynot.tokyo/blogs/exhibitons/for-yesterday-mikio-hasui-solo-exhibition

『For yesterday』シリーズより、2020年、ゼラチンシルバープリント、各20x30cm、エディション10 ©️ Mikio Hasui

『For yesterday』シリーズより、2020年、ゼラチンシルバープリント、各20x30cm、エディション10 ©️ Mikio Hasui

2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。

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