楢橋朝子作品展「春は曙」が2月1日(水)よりPGIにて開催される。
およそ30数年のときを経て出版される同名の写真集出版に合わせて開催される本展。作家本人の手によって新たにプリントされた作品が展示される。
「わたしにもこんな青い春のような時間があったのだと。」こうした楢橋の言葉からも、「春は曙」というタイトルで3回の個展を行った1989年が非常に意義深い時期であったことが伺える。作品のほとんどには、特定のどこかや何かというよりは、断片としての風景や時間が写されており、こうして集められたイメージの集合からは、楢橋朝子という個人の眼差しが、社会や全体を記録し理解しようとするのではなく、全体を創る「部分」を象徴的にとらえることで自分と世界の距離を測っていることが伺える。そのことからは、楢橋がとどまらずその場所を通り過ぎる人であったことも垣間見え、ある面ではそうしたあり方に執着さえもしていたのではないかと考えさせられる。
一点、海の遥かに見える桜島とその噴煙は、明らかにその被写体の個性を写しながら、学生生活を終えて社会に出ても、決まった仕事に就くことなく、ただ外へ出て写真を撮るという不安定な生活を送る作者と世界との距離が象徴的に写されている。
タイトル | 「春は曙」 |
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会期 | 2023年2月1日(水)~3月18日(土) |
会場 | PGI(東京都) |
時間 | 11:00~18:00 |
休館日 | 日曜・祝日 |
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