イラン人の両親を持ちスイスで育った写真家、ローレンス・ラスティの作品集『There Are No Homosexuals in Iran』。
イランでは同性愛はいまだに死刑に値する罪であるとされ、同性愛者が性自認を公にして生きることは許されていない。残された道は、法律で認められている性転換手術を受け、性的マイノリティとして差別の対象となり続けるか、国外に逃れるか、二つにひとつである。トルコの街デニズリでは、何百人ものゲイのイラン人が LGBT難民として避難生活を余儀なくされている。彼らはここで人生を一旦保留にされ、期待してはいけないと思いながら、カミングアウトし人生をやり直すことができる第三国に迎え入れられる日を夢見ている。
本書でラスティは、彼らを政治的抑圧や悲惨な記憶の被害者として描いているのではなく、彼らが現在直面している苦境と、性やジェンダーに対する抑圧の手が及ばないところで自分たちの愛やセクシュアリティを堂々と表現できる、より自由で良質な生き方に対して抱く希望へと焦点を当てている。軽快さとシンプルさ、楽し気に見える要素さえも織り交ぜたイメージ群は、この問題の重みや被写体が置かれている状況の危険性を逆説的に表現し、顔を隠した写真と顔を出した写真を交互に登場させることによって、アイデンティティが剥奪された結果生まれた心の空隙を再び満たすことの難しさを強調している。
タイトル | 『There Are No Homosexuals in Iran』 |
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出版社 | |
出版年 | 2018年 |
価格 | 5,500円+tax |
仕様 | ハードカバー/190mm×250mm/156ページ |
URL | https://ja.twelve-books.com/products/there-are-no-homosexuals-in-iran-by-laurence-rasti |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。