兵庫・神戸のTHE BOOK ENDにて、濱田英明による写真展「Haru and Mina」が5月14日から開催される。本展では、作家自身の二人の子どもを約11年間にわたり撮影したシリーズから、厳選された作品群が展示される。
「Haru and Mina」は、2009年から2020年まで撮影された約8,000点におよぶ膨大な記録からなる。そこに写されているのは、特別な出来事ではない。電車の座席に膝立ちする姿、道端で雪に触れる瞬間、海辺に並んで座る後ろ姿など日常の中で瞬時に通り過ぎ、忘れ去られていくような風景だ。
しかし、濱田の写真は単なる家族の記録にはとどまらない。画面に流れる柔らかな光や淡い色彩は、見る者の記憶に静かに作用し、「どこかで見たことがある風景」として立ち現れる。鑑賞者は写真の中の他者を見るのではなく、自身の遠い記憶へと引き戻されていく。
本シリーズに通底するのは、「写真を撮る」という行為そのものへの問いである。時間は不可逆的に流れ、子どもたちは成長し、日常は失われていく。それでもシャッターを切ることで、一瞬は像として留められる。写真は過去を保存するだけでなく、現在において再び時間を呼び戻す装置として機能している。
濱田は35歳でデザイナーから写真家へ転身し、本シリーズによって広く知られるようになった。親密な距離感と繊細な視覚感覚によって構築されるそのイメージは、家族写真というジャンルを超え、時間や記憶そのものをめぐる普遍的な感覚へと接続されている。
| タイトル | Haru and Mina |
|---|---|
| 場所 | THE BOOK END(兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-5 海岸ビルヂング302) |
| 会期 | 5月14日(木)~6月8日(月) |
| 時間 | 11:00~18:00 |
| 休み | 火・水曜日 |
| 料金 | 無し |
| URL | https://the-book-end.com/ |
