東京・神宮前のLAG(LIVE ART GALLERY)にて、アーティストユニットDAISY BALLOONと音楽家・平井真美子による展覧会「CALL|SIGNAL」が5月16日から3開催される。本展では、ひび割れたバルーンを撮影した写真作品を中心に、書籍作品、レコード作品、さらに音響インスタレーションが展開される。
本展の起点となったのは、DAISY BALLOONの二人が公園で傷を負った少女と遭遇した出来事だった。言葉にならない声を発しながら震える少女。その記憶は時間とともに変形し、作家たちの内部に漂流し続けたという。
展示される写真には、表面が亀裂を帯びたバルーンが写し出されている。しかし、それらは単なる物質の記録ではない。マクロ撮影によって拡大された断片は、乾いた大地や未知の惑星表面を思わせ、ミクロとマクロのスケールを横断する風景として現れる。そこでは記憶は固定された過去ではなく、侵食し、変形し続ける存在として可視化されている。
また本展では、平井真美子との協働によるレコード作品「CALL|SIGNAL」も発表される。古い鍵盤楽器や廃材楽器を用いた音響は、写真に漂う気配と呼応しながら、視覚と聴覚の境界を曖昧にしていく。音は意味を伝達する言語ではなく、記憶の残響や感情の振動として空間に広がる。
DAISY BALLOONはこれまでも、「感覚と質」をテーマに、バルーンを用いた彫刻的インスタレーションを発表してきた。繊細な構造体はしばしば建築を思わせる一方、その素材はきわめて脆く、不安定である。本展においても、その脆さは記憶やコミュニケーションの不確かさと結びつき、見る者の感覚を揺さぶる。
会場では写真集『CALL』と、4面構成のレコード作品もあわせて発表される。写真、音、書物という異なるメディアが交差することで、本展は単なる写真展示に留まらず、「記憶の変容」を体験するための場として構成されている。
5月30日18時から、平井真美子による演奏とDAISY BALLOON河田孝志によるトークを交えたクロージングイベントも開催予定だ(3000円、定員30名、要予約)。
言葉以前の声や、断片化された記憶は、どのように他者へ届きうるのか。本展は、その問いを視覚と音響の両面から静かに探ろうとしている。
| タイトル | DAISY BALLOON|Mamiko Hirai「CALL|SIGNAL」 |
|---|---|
| 場所 | LAG(LIVE ART GALLERY)(東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwa神宮前ビル1F) |
| 会期 | 5月16日(土)~30日(土) |
| 時間 | 13:00~19:00 |
| 休み | 日・月曜日、祝日 |
| 料金 | 無し |
| URL | https://www.live-art-books.jp/lag/ |
