子どものための写真学校
Lesson 2

作ったらカメラでパシャ!
(IMA 2014 Autumn Vol.9より転載)

13 January 2021

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子どものための写真学校 Lesson 2「作ったらカメラでパシャ!」 | 子どものための写真学校 Lesson 2

アート写真ってなんだかちょっと難しいでしょ?『IMA』vol.9では、そんな子どもたちのために写真の学校をオープンしました。実はアート写真には、日常が豊かになるような身近なヒントがたくさん隠れています。大人も一緒に学べる特別授業となりました。ここでは「子どものための写真学校」より一部のコンテンツをご紹介します。前回のうつゆみこさんのワークショップに続き、Lesson 2では、カラフルなスポンジや食べ物などを使って頭の中にあるアイデアを形にし、撮影したユニークな作品をフィーチャー。「何かが起こる瞬間をとらえるのだけが写真じゃない!」と、閃きをもとに何かを作りたくなるきっかけになるかも!

IMA=文

Lesson 2 作ったらカメラでパシャ!

目の前の風景にシャッターを押すだけじゃなく、 撮りたいものを作りだすこともアート写真の大切な一面なんだ。

自分だけのアイデアを見つけよう
よく見ると、一体どうやって撮っているかがわからない写真がいっぱい。自分が思い描くイメージをどうやったら形にできるか、アーティストたちは日々思いを巡らせている。紙で彫刻を作ったり、アルミホイルの山を作ったり、刺繍をほどこしてみたり……。いまでは表現するための手法も、写真家の大切な個性となっているんだ。だから、現代写真にはこう撮らないといけないっていうルールはないんだよ。自分だけのアイデアを思いついたら、まずは実践してみよう。


1. サラ・イレンベルガー

日常をわくわくさせるスパイス

モノとモノを組み合わせてヴィジュアル化するアイデアに富むサラ・イレンベルガーさんは、日常のアイテムを使ってわくわくするような作品を生みだすアーティスト。「奇妙なフルーツ」と題されたこのシリーズは、思わずあっ!と声に出しそうになる小さな仕掛けが、一枚一枚に施されているよ。日常を楽しむささやかなエッセンスが作品全体にちりばめられていて、見ているこちらまでハッピーになるね。

サラ・イレンベルガー|Sarah Illenberger 
1976年、ミュンヘン生まれ、ベルリンを拠点に活動するヴィジュアルアーティスト。ロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチンズでグラフィックデザインを学び、2003年よりイラストレーター、アートディレクター、セットデザイナーとして、数々のADC賞などを受賞。


2. 鈴木崇

スポンジ、スポンジ、スポンジ…

鈴木崇

よく見たらカラフルな物体はぜんぶスポンジ! 鈴木崇さんは市販のスポンジを使って、膨大な数の写真を撮っている。ふだんはお皿を洗うだけに使われているスポンジを組み合わせることで、一見何かわからなくなって、奇妙な立体や絵画のように見えたりするのが面白い。鈴木さんはモノが持つ本来の価値に、違う価値観を与える。だからスポンジは無限の可能性を持つ自由な表現者になるんだ。

鈴木 崇Takashi Suzuki
1971年、京都生まれ。 The Art Institute of Bostonの写真学科を卒業後、デュッセルドルフ芸術アカデミーでトーマス・ルフに師事。2002年より本格的に国内を拠点に活動を始める。


3. 西野壮平

自分だけの都市風景を作ってみよう

Night, 2010

Night, 2010

Night, 2010

Night, 2010

世界中の都市を歩き回って撮った小さな写真のパーツから、大きなコラージュ作品を作る西野壮平さん。これは西野さんが作った架空の都市。よーく見ると、世界のいろんな都市で撮った写真がコラージュされているよ。組み合わせることで、自分だけの都市を作りだしているんだ。なんと、組み合わせたパーツは約 5000 枚だって!

西野壮平|Sohei Nishino
1982年、兵庫県生まれ。世界中の都市を旅し、自身の記憶をもとに都市の肖像を作り上げる「Diorama Map」シリーズを国内外で発表。オランダの「Foam」誌が選ぶFoam Talent 2013に選出され、世界を舞台に活躍中。


4. 濱田祐史

キラキラと輝く雪山をじーっと見てみたら?

© Yuji Hamada  Courtesy of the artist and Photo Gallery International

© Yuji Hamada Courtesy of the artist and Photo Gallery International

なんだか普通の山の写真じゃないみたい……? 実はこれ、アルミホイルでできている雪山。濱田祐史さんは友達から届いたスイスの雪山のポストカードがあまりにきれいで、一瞬偽物だと思ったことがきっかけで、このアイデアがひらめいたんだって。つまり偽物を本物に見立てることで美しく見せようとやってみたんだ。身近なところにアイデアはたくさん落ちている。「 気付く」ということも、とっても大切なんだね。

濱田祐史|Yuji Hamada
1979年、大阪府生まれ。2014年に刊行した初の写真集『photograph』が、Paris Photo/ApertureのFirst Photobook Award 2014にノミネートされるなど、東京を拠点に国内外で精力的に活動している。


5. ダニエル・ゴードン

2次元と3次元を自在にあやつる

Crescent Eyed Portrait, 2012  Chromogenic print  40 x 30 inches  Courtesy of the artist and Wallspace, New York

Crescent Eyed Portrait, 2012 Chromogenic print 40 x 30 inches Courtesy of the artist and Wallspace, New York

雑誌やインターネットから拾ってきた写真をプリントして、カットして貼り合わせて組み立てる。それを大判の4×5カメラでまた撮って、プリントする……。ダニエル・ゴードンさんは拾ってきた写真やいろんな紙の素材を組み合わせて、立体的なコラージュを作って、ポップな世界を生みだ すんだ。立体と平面の間の可能性をどんどん追求していく姿は、まるで 彫刻家みたい。これからもどんな世界を作りだすのかが楽しみだね。

ダニエル・ゴードン|Daniel Gordon
1980年、ボストン生まれ。ニューヨーク在住。2010年にMoMA PS1での「Greater New York」に参加するなど注目を集める。写真集に『STILL LIFES, PORTRAITS & PARTS』がある。