東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。
セレクト・文=森屋恵美(Shelfオーナー)
1966年の「コンテンポラリー・フォトグラファーズ」展、1967年の「ニュー・ドキュメンツ」展でコンポラ写真を代表する写真家として注目を集め、長きにわたりアメリカ現代写真を代表する写真家として精力的に作家活動を続けるリー・フリードランダー。その膨大な作品アーカイブからフェンスをモチーフとした写真97点を集める。ときにレースのように繊細な、ときに蛇皮のよう強靭なスチールメッシュのフェンスは、空間に境界をつくり、防護壁を形成し、秩序をもたらすと同時に紛らわしい影を投げかけ、完全に遮ることなく視覚を邪魔して、まさにソーシャル・ランドスケープというにふさわしい風景を作り上げる。
タイトル | リー・フリードランダー『Chain Link』 |
---|---|
出版社 | Steidl |
価格 | 6,620円+tax(輸入書籍につき円価は変動) |
発行年 | 2017年 |
仕様 | ハードカバー/310mm×300mm/140ページ |
URL |
現代アーティストとして人気の高いクリストファー・ウールによる写真で構成されたアーティストブックが2冊出版された。ひとつは2008年から2017年のあいだにウェスト・テキサスのマルファ周辺で撮影したシリーズ『Westtexaspsychosculpture』。裏庭の瓦礫や放置された資材、作りかけのまま捨て置かれた工作物、迷子の動物、用途のわからない奇妙な構造物などを撮った写真が集められている。これらの被写体はかつては意味があったのかもしれないが、ここでは背景から抜きだされ、レンズにとらえられた彫刻のように見える。もうひとつは2015年から2017年までの間に撮影された未舗装の道の写真で構成された『Road』。石だらけの道や深いタイヤ跡が残るぬかるみ道、藪や荒地を抜ける道、カーブする車のタイヤ跡で拡幅してしまった道など、太陽の明るい光の下、人気のない田舎道をロードトリップする感覚を感じさせてくれる。
タイトル | クリストファー・ウール『Westtexaspsychosculptured』『Road』 |
---|---|
出版社 | Holzwarth Publications |
価格 | 19,800円+tax(輸入書籍につき円価は変動) |
発行年 | 2017年 |
仕様 | ソフトカバー/380mm×260mm/194ページ |
URL | http://shelf.shop-pro.jp/?pid=126147812 |
Shelf
外苑前にあるブックショップ。写真集を中心とした洋書を専門に取り扱っており、店内には希少な本から絶版書までさまざまなジャンルの写真集が所狭しと並べられている。
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-4
tel / fax: 03-3405-7889
http://www.shelf.ne.jp/
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。