毎月IMAが開催するオンライン写真コンテスト「IMA next」では、毎回異なるテーマを掲げ、写真家やキュレーター、編集者などがゲスト審査員となり優れた作品を選出。6月上旬まで応募受付中のコンテストのテーマは「UNREAL/REAL」。大判カメラのアオリを利用してジオラマのような風景を生み出す本城直季に、自身の作品や今回のテーマについて質問してみた。
Miami 2007 © Naoki Honjo
Q. 現在、東京都現代美術館で開催中の個展「(un) real utopia」のタイトルには、どのような思いが込められているのでしょうか? 最後にユートピアとつけた理由とは?
A. 僕の作品がそういう要素を持っているので、そのままrealなのかunrealなのかという意味で付けました。それと、そもそもこの世界がrealなのかという意味もあります。ユートピアとつけたのは、色んな意味を込めていますが、自分たちの住む世界への投げかけです。
Q. IMA nextのテーマも「Unreal/ Real」にしました。どのような作品を期待していますか?
A. 「Unreal/ Real」は、人に取って色々な見方ができると思っています。その人の受け取り方や、感じ方で、その人の興味や日常がそのまま作品になったら良いなと思っています。
LIGHT HOUSE Nakano-ku, Tokyo 2002 © Naoki Honjo
Q. 本城さんは大判カメラを使用されていますが、デジカメやスマホで撮影したものでも応募可能でしょうか?
A. 時代で考えるならむしろ、デジカメやスマホで撮影したものの方が良いかなと思っています。
Q. 本城さんはヘリコプターを使った大掛かりな撮影をされていますが、撮影前からある程度撮りたい絵は決まっているのでしょうか? 事前にどのような準備をしているのか、また上空で撮影するときはどのようなことを考え、優先しながら撮影しているのか教えていただけますか?
A. 撮影したい場所はあらかじめグーグルマップなどで決めていますが、実際にはその時の天候で光の角度や、ヘリコプターの高低差で撮りたいイメージは変わってきます。限られた時間の中で撮影しているので現場ではあまり考えてるより必死になって撮影しています。
Albuquerque 2007 © Naoki Honjo
Q. テクノロジーの進化によって誰でも撮影&加工できるようになり、多くの人たちは写真は真実を伝えるものという前提で鑑賞しなくなったように思います。写真のあり方や時代が変わったことで、ご自身の作品のとらえられ方が変わったと感じる点はありますか?
A. 自分の作品のとらえ方が変わったかはわかりませんが、写真の見方がより自由になったような気がします。
Q. 若い写真家へのメッセージをお願いします。
A. いまが撮影したり制作をするチャンスです。
写真を通して虚構と現実を考えることで、本来対極にあるはずのものが時にはつながり、その間にあるものさえも浮かび上がらせます。今回の審査員の本城直季は、都市の「UNREAL(虚構)」についてずっと取り組んできました。私たちがいま生きている世界では、SNSをはじめとするインターネットのバーチャル世界の割合が増えていき、現実とは何かがどんどん曖昧になってきています。また虚像を知らぬうちに現実のようにとらえてしまっていたこともあるかもしれません。誰もがそれぞれに抱えている現実と虚像の世界とは何か、そこに目を向けて、写真で表現してみてください。
本城直季が審査する、IMA next 第33回「UNREAL/REAL」へのご応募お待ちしています!
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応募期間 | 2022年4月11日(月)~ |
応募料金 | 2,000円/1エントリー |
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本城直季|Naoki Honjo
1978年東京都生まれ。2004年、東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻修了。『small planet』(リトルモア、2006年)で第32 回木村伊兵衛写真賞を受賞。主な著書に『TREASURE BOX』(2010/講談社)、『Shinkirou』(2013/リトルモア)、『東京』(2016/リトルモア)、『京都』(2016/淡交社)など。