「SHIBUYA / 森山大道 / NEXT GEN」の第一弾として6月6日よりスタートした「TODAY is -Next Generations of DAIDO MORIYAMA-」。若手8名のフォトグラファーが、森山大道にインスパイアされ、日替わりで「渋谷の今」を写した作品を展示。期間終了までには400枚以上の作品で会場が埋め尽くされるという。
文=酒井瑛作
ソニーと東急電鉄が、写真家・森山大道を迎え、未来を担う次世代クリエイターを発掘・支援するアートプロジェクト「SHIBUYA / 森山大道 / NEXT GEN」。その第一弾として、ソニースクエア渋谷プロジェクトを会場に、展示期間中、毎日作品が更新されアーカイブされていく日替わりの写真展を開催。森山大道の言葉「量のない質はない」を彷彿とさせる展示形態のもと、8名のフォトグラファーがスナップ写真の可能性の拡張に挑んだ。
「次世代」の作家として選ばれたのは、草野庸子、市田小百合、顧剣亨、小林健太、山谷佑介、川合穂波、チャーリー・エングマン、三保谷将史の8名。既存のストリートスナップにとどまらない多様なアプローチから、大規模な開発により変わりゆく渋谷の「TODAY=今」をとらえた。その中からいくつか作品をピックアップしてご紹介。
草野庸子「Transparent pictures」
渋谷の街を歩きながら何気なく撮影したようなランダムな風景が並ぶ。草野は、一連の写真を通して「見慣れた風景を見ることと、イメージに変換された風景を見ることは、同じだろうか」と問いかける。その答えを探るためには、慣れ親しんだ街を歩くように、写真から写真へとイメージ上を“散歩”してみるのがいいかもしれない。
小林健太「N-Tokyo」
街を彩る極彩色のライトのきらめきが、小林独自のストロークによって歪み、風景の中を縦横無尽に動き回っているさまは、変わりゆく渋谷の現在の姿とどこか重なって見える。静止しているように見える街並みは、常に動き続けており、いずれその姿を変化させていく。そんな“生き物”として街のありようが小林の写真からは見えてくる。
三保谷将史「ご自由にお取りください」
渋谷の街を歩き入手したチラシや冊子をネガとして扱い、暗室で制作された本シリーズは、カメラが使われていない。一方で三保谷は、暗室内で収集した印刷物からイメージを切り取っていく行為は、街を歩きながら被写体を探すストリートフォトグラフィーと通底するものがあるという。「撮る」という行為を介さずとも、街の姿をとらえることができる写真のアプローチの多様さが垣間見えた。
会場中央には「SHIBUYA PHOTO SCRAMBLE」と題したフォトインスタレーションも。Instagramに投稿された写真が、日付とともに表示される仕組みになっており、来場者も同様に「渋谷の今」をとらえるクリエイターとして参加することができる。
さらに会場内では、各作家による音声ガイドを高音質ワイヤレスノイズキャンセルヘッドセットで聞くことができ、作家の言葉を通して作品コンセプトを深く理解できる貴重な機会となっている。
大規模な開発によって変わりゆく渋谷の今を、8名のフォトグラファーの視点から見つめるとともに、次世代の新たな写真表現の広がりを感じる本展に、ぜひ足を運んでみてほしい。
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会期 | 2019年6月6日(木)~7月29日(月) |
会場 | ソニースクエア渋谷プロジェクト(東京都) |
時間 | 11:00~21:00 |
URL | https://www.sony.co.jp/brand/experience/square-shibuyapj/today_is/index.html |
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。