21 October 2019

CHANEL
Photographed by Sayuri Ichida

写真家・市田小百合がとらえた“マドモアゼル”のアパルトマン

AREA

東京都

21 October 2019

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写真家・市田小百合がとらえた“マドモアゼル”のアパルトマン | シャネル

この10月19日から12月10日まで、東京・天王洲アイルB&C HALLで、シャネル「マドモアゼル プリヴェ(Mademoiselle Privé)展 – ガブリエル シャネルの世界へ」が開催される。それに合わせて、ガブリエル・シャネルのアパルトマンを市田小百合が撮影、同じく天王洲のIMA galleryで写真展がスタートする。シャネルの世界観を詰め込んだ空間には、ガブリエルの精神が宿っている。

文=IMA
写真=市田小百合

ガブリエル・シャネル。獅子座生まれ、孤児院育ちの少女が、20世紀を象徴する稀代のファッションデザイナーとなり、同時代の女性たちの装いからライフスタイルまでも変えていく存在になるとは、誰が想像しえただろうか。
 彼女はお針子をしながら、兵士たちのためにキャバレーで歌い、ココと呼ばれる。やがて、紳士服に想を得た革新的なデザインの服、羽根を取り除きシンプルでシックなスタイルを実現した帽子など、近代化著しいヨーロッパで女性たちを古い慣習から解放し、主権を持って活躍するよう、その生き方までもモダナイズしていったのだった。

シャネル

 類稀なる美意識と先駆的な思想に溢れたガブリエル・シャネル。パリ、カンボン通り31番地には、彼女の愛したアパルトマンが今も生前のままに遺されている。1921年にクチュールメゾンとして構えた建物の3階に、自らのクリエーションを生み出す思索の空間として、また、親しい友人たちを招き入れるサロンとして、このスペースを作ったのだ。アパルトマンに上がる螺旋階段に、まるで万華鏡のようにぐるりと貼りめぐらされた鏡は、彼女が階下のオートクチュールサロンのファッションショーをひっそりと見守るための重要な役割を備えていたという。

シャネル


 室内に足を踏み入れると、そこは彼女が愛した家具と調度品で埋め尽くされたラビリンスだ。空間はシャネルのキーカラーである白、黒、ベージュ、ゴールド、赤の5色で統一され、一貫した趣味と細部に至るまでの徹底したこだわりに貫かれていることに驚かされるだろう。中国から取り寄せた螺鈿細工を施した絢爛な屏風、豪奢な鏡やテーブル、ソファなどが所狭しと配され、獅子座の彼女が集めたライオンや縁起物の鹿の置物、タロットカードなど、信心深い彼女にとってのラッキーチャームがあちこちに散りばめられている。天然のクリスタルをふんだんに使って作られたシャンデリアには、幸運の数字としてパフュームの名前にも冠した「5」やガブリエルの頭文字である「G」、ココ・シャネルのイニシャルである「C」を二つ組み合わせたあのロゴマークなどがあしらわれた凝りに凝った逸品。文学や哲学、東洋について彼女に教えたのは、最愛の男性、イギリス人実業家のアーサー・カベル。彼から受けた知性の恩恵は、本棚に並ぶ書物に現れている。


彼女は修道院の中にあった孤児院で、禁欲的な暮らしで身についたシンプリシティと白と黒という色への親しみと同時に、宗教儀式のためのバロック様式の装飾やゴールドという色、そしてカラーストーンへの審美眼を育んだ。その嗜好がアパルトマンの中のあちこちに見て取れる。
「マドモアゼル」の愛称で呼ばれたガブリエル・シャネル。その美意識と哲学が凝縮された空間とディテールを捉えた新進気鋭のフォトグラファー、市田小百合が、ガブリエルの分身とも言えるこのアパルトマンの魅力を伝える。

シャネル

タイトル

市田小百合写真展「L’APPARTEMENT DE MADEMOISELLE」

会期

 2019年10月19日(土)~12月1日(日)

会場

株式会社アマナ IMA gallery(東京都)

時間

 11:00~20:00(10月25日、29日、11月8日、13日は17:00まで)

入場料

無料

問い合わせ

TEL: 03-3740-0303
E-Mail: imagallery@imaconceptstore.jp

URL

https://imaonline.jp/imaproject/exhibition/sayuri-ichida/

2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。

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