アマナ コレクション展
02 ― 楢橋朝子、野口里佳、米田知子

IMA galleryでは、「アマナ コレクション展 02 ―楢橋朝子、野口里佳、米田知子」を開催いたします。

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マハトマ・ガンジーの眼鏡

米田知子 マハトマ・ガンジーの眼鏡 –『沈黙の日』の最後のノートを見る、2003

―見るということ―

写真とは特定の何かをみせることではなく、むしろ写真家の心のあり方を映しだすものです。写真家自身が見続けてきた長い時間の蓄積と反復運動の結果として、その心の状態が写真として表れます。ですから、写真家がその状態を認識して、それを写真で伝えることができたとき、鑑賞者である私たちはその作品を通じて新たなパラダイムに足を踏み入れ、自らを取り巻く世界をいままでとは異なる方法で理解するのです。

米田知子は、現在も制作が続くシリーズ「Between Visible and Invisible」において、ハッセルブラッドカメラを通して、世界の著名な人物が使用していた眼鏡とその眼鏡がとらえていた書籍や原稿を覗いています。この作品で米田は二重の窓を作りだしていますが、眼鏡はカメラのレンズのようでもあり、写真のメタファーそのものともいえるでしょう。

おなじように、野口里佳も見ることとカメラの結びつきをたびたび主題として、作品を制作してきました。ここでの作品「H-IIA・F4」では、2機のロケットは成層圏に向けて上昇しながら、サイズを縮め、視界からほぼ消失します。その過程とともに、私たちは自身の視覚が、遠近感やスケール感、そして知覚の制約といったものに操作されることに気づきます。

楢橋朝子のシリーズ「Half Asleep Half Awake in the Water」の作品では、画面上の平面は固定されていない水平線で分けられています。カメラは水面の中と外で緩やかに波立つように位置していて、不安定さを増しながら、テラ・ファーマ-安定する大地に向かっているかのようです。表現として不可欠な要素である地平線を不安定にすることは、写真作品そのものと、写真家の心のあり方をも表現しています。

写真家の仕事は機械を使用してひとつの見方を撮ることであるのは自明なことですが、同時に、写真家は人間の目そのものがカメラ装置であることも示しています。そうすることで、写真家は知覚と心のあり方の相関関係を明らかにしているのです。知覚を制約するものは機械でしょうか、それとも心のあり方なのでしょうか?ここで展示する作品たちは、美しくとても洗練された思想でそれに問いかけています。

―アマナコレクションディレクター:アイヴァン・ヴァルタニアン

【アマナコレクションとは】
2011年に株式会社アマナがスタートした、日本の現代写真を中心とした企業コレクションです。現在、日本の現代写真作品の卓越性が表れる約700点もの多彩な作品を収めるまでになりました。本コレクションには、既成の概念や視点に疑問を投げかけ、新たな創作への道を開こうとする写真家たちの作品が集結しています。これからも、アマナコレクションは現代写真への認知と理解を高めるさまざまな活動に取り組み、現代そして未来の日本人写真家の支援を続けてまいります。

タイトル

「アマナ コレクション展 02 ― 楢橋朝子、野口里佳、米田知子」

会期

2018年10月9日(火)~11月16日(金)

会場

IMA gallery(東京都)

時間

11:00~19:00

休廊日

日曜・祝祭日

観覧料

無料

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