20 May 2026

都市の“周縁”に漂う記憶 由良環「WATER ROAD」展開催

20 May 2026

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東京・小伝馬町のMONO GRAPHY Camera & Artにて、写真家・由良環による個展「WATER ROAD」が5月21日から開催される。本展では、大阪・西成を撮影した最新シリーズ「WATER ROAD」を中心に、キューバやネパールを写した「Partir」シリーズの作品もあわせて展示される。

由良は長年、「都市」をテーマに作品制作を続けてきた写真家である。パリ、上海、メキシコシティ、ハバナ、ネパール、大阪——さまざまな都市を歩きながら、観光的な風景ではなく、その土地に滞留する時間や人々の気配を掬い上げてきた。

今回の中心となる「WATER ROAD」は、大阪・西成区北東部、いわゆる釜ヶ崎周辺を舞台にしたシリーズだ。スラム街やドヤ街と呼ばれる場所にカメラを向けながらも、由良の写真は社会的ドキュメントへ単純には回収されない。そこにあるのは、街を漂う曖昧な空気や、記憶の断片のような感覚である。

作品には、決定的瞬間を捉えたスナップの鋭さというより、どこか流動的で掴みどころのない余韻が漂う。由良自身も、これらの風景が映画や小説など、自身の個人的記憶と結びついている可能性について言及している。記憶は時間とともに薄れ、変形し、不鮮明になっていく。その感覚が、写真の中の都市風景と重なり合っている。

展覧会ステートメントでは、三角公園で財布を失くした男性との短い会話が語られる。そこで由良は、自分自身がかつてよりも街に“馴染んでしまっている”ことに気づく。外部の観察者だったはずの身体は、いつしか都市の内部へと溶け込み始めているのである。

由良の写真において重要なのは、「都市を見る」ことが同時に「自分自身の記憶や感覚を見る」行為でもある点だ。写される街は現実の風景でありながら、どこか夢や映画のワンシーンのようでもある。その曖昧な距離感が、作品に独特の浮遊感を与えている。

また、本展ではオリジナルプリントや写真集『Partir』『TOPOPHILIA』も販売されるほか、5月31日17:30から写真家・中藤毅彦を迎えたギャラリートークも開催予定だ(550円、10名)。

タイトル

由良環 写真展「WATER ROAD」

場所

MONO GRAPHY Camera & Art(東京都中央区日本橋小伝馬町17-5 7ビル2F)

会期

5月21日(木)〜6月7日(日)

時間

12:00~19:00(日曜日17:00まで)

休み

月~水曜日

料金

無料

URL

https://americabashigallery.com/kyoto-3×5/ 

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