グッチがジェンダーを考える
『CHIME ZINE』2号刊行!

30 November 2020

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IMA=文  Text: IMA

イタリアを代表するラグジュアリーブランドのグッチ。上質で先鋭的なアイテムがファッショントレンドを牽引してきたが、その活動はファッションのみにとどまらず、アートや社会活動にも積極的だ。今年韓国の大林美術館で展覧会「No Space, Just A Place」を開催したのは記憶に新しい。また今、重要視される“サステイナビリティ”についてもラグジュアリーファッション企業の中でのパイオニア的存在として、再生生地を用いたアイテムや環境に負荷のかからない商品製造や店舗運営などを実施してきた。

特に、クリエイティブ・ディレクターにアレッサンドロ・ミケーレが就任してからは、現代を象徴するキーワードである“ダイバーシティ”の要素が加わった。彼の装飾的でセクシャリティも歴史もクロスオーバーするスタイルは、瞬く間にファッショントレンドを席巻。ファッションから多様性を牽引してきた。むしろ、グッチがこの“ダイバーシティ” という言葉を世界に広めたのかもしれない。まさに「ファッションは時代を写す鏡」という形容を体現するブランドなのだ。

「ピープル」と「プラネット」を軸に幅広く活動するグッチは多くの賛同者を得、コミュニティを形成している。2013年には、ジェンダーや人種の平等のために活動した人々を一つの強い力として集結するため、「CHIME FOR CHANGE(チャイム・フォー・チェンジ)」を設立。このグローバルプロジェクトは平等のために戦う人々のコミュニティとなり、世界89カ国、160の非営利パートナーと430を超えるプロジェクトに約1700万ドルの資金を提供してきた。そしてこのたび、同プロジェクトの精神をいかんなく表現したZINEの3巻目『CHIME ZINE ISSUE NO. 2』が発行された。

グッチのCHIME FOR CHANGEが『CHIME ZINE ISSUE NO.2』を発行。今号では日本にフォーカス。特集は日本初のフェミニストによる文芸誌『青踏』編集者たちの写真が扉に。

同ZINEはジェンダーに起因する様々な問題を探求。写真はクィアのマルチアーティスト兼ミュージシャンのラフィア・サンタナによるセルフポートレート作品。

日本特集内では様々な女性活動家をフィーチャー。女性ラッパー、あっこゴリラはフェミニズムについて叫ぶ。

今号では、日本にフォーカスした特集ページが設けられていることに注目したい。特集の扉を、1910年代に日本の女性解放運動をリードしたフェミニストによる月刊誌『青踏』の平塚らいてうら、当時の編集メンバーの写真が飾り、日本の婦人問題の根深さを感じさせる。日本における男女格差は依然大きく、世界経済フォーラムのリサーチによると153カ国中121位。儒教国である韓国(108位)より低位の結果となっている。そんな日本において、フェミニズム、ジェンダー問題に立ち向かう女性たちにスポットライトを当て、彼女らのエッセイやインタビュー、アートワークを紹介する意義深い特集となっている。

女性寿司職人の千津井由貴、クィアのフェミニストとして活躍するライターでZINE『B.G.U. 』創刊者の森本優芽、パーティーイベントを企画・開催している「WAIFU」のメンバーなどをフィーチャーする他、特集外では障害を持つ女性や、女性性器切除、児童婚など、世界中から寄せられたストーリーが紹介され、ジェンダー問題を真摯に考えるきっかけとなるだろう。

『CHIME ZINE ISSUE NO.2』表紙。アートディレクションはビジュアルアーティストMP5が手掛けている。

皆がひとつになり声を上げることを意図し“、To Gather Together”をスローガンにライターのアダム・イーライが編集。

ジェンダーの問題と複雑に交差するマイノリティにもスポットライトを当てる同ZINE。マリエンジェル・ガルシア・ラモスは障害者であることとジェンダーの問題を提起する。

同ZINEは東京の代官山 蔦屋書店、waltz、BIBLIOTHECA / DOVER STREET MARKET GINZA、SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS、本屋B&B、京都の恵文社一乗寺店で日本語版が配布される。いずれ時代を経て価値が生まれること間違いなしの一冊だが、入手できない人はデジタル版もダウンロードできるのでチェックしてみてほしい。ファッションから社会問題を解決しようとするグッチの活動をリアルな形で目の当たりにできる。

https://chime.gucci.com/zine/