今年夏リニューアルオープンしたセリーヌ表参道。エディ・スリマンの新しい建築デザインコンセプトによって生まれた空間に佇むエレガントな作品たちは、セリーヌの美学と共鳴し合う。
テキスト=海老原光宏
東京・青山のセリーヌの旗艦店であるセリーヌ表参道が、エディ・スリマンの新しい建築デザインコンセプトによって、アートな空間に生まれ変わった。スリマンらしくミニマルでラグジュアリーなインテリアでまとめられた店内は、大理石やイタリア産のバサルティーナ石などの天然素材やメタルが用いられ、エレガントで彫刻的な空間に仕上がっている。
1階には、レザーグッズ、香水、ジュエリーがそろい、2階はウィメンズのプレタポルテコレクションが、地下1階には、メンズのプレタポルテやアクセサリーが美しく並ぶ。
その中でひときわ目立つのは、新たに加わったコンテンポラリーアート作品だ。特にフロアをまたぐ、らせん階段の中心に据えられたエレイン・キャメロン=ウィアーが制作した銅とスチールの彫刻「Snake X」には目を見張らされるだろう。タイトル通りヘビ革を模した肌目ときらびやかなゴールドが、セリーヌのアイテムと見事に呼応し、来店するゲストを出迎えるのだ。頭部と尾部がない剥いだヘビ革のような作品は、尾をのみ込んだヘビ「ウロボロス」のようでもあり、セリーヌの永続性を祝福する。鏡に溶け込むようにたたずむのは、ベルリンを拠点に活動するジョン・アイザックスによるアブストラクトな絵画だ。生物学を学んだバックグラウンドを生かし、多様なメディウムと素材で生まれた詩的な作品は、鏡を見る人に人間の存在の不思議さを静かに問いかける。そのほか店内にはクリス・サッコ、A.カッセン、デイヴィッド・ナッシュ、エリザベス・アターベリー、キャメロン・プラッターによる作品が随所にすえられている。
エレガントな空間に差し込まれたアートは、スリマンのコレクションと見事なハーモニーを奏で、豊かでラグジュアリーな時間を演出する。表参道の新たなアートスポットとしてファッションと調和するコンテンポラリーな空間を、ぜひ覗いてみては。
店名 | セリーヌ表参道 |
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住所 | 東京都港区北青山3-5-29 |
時間 | 11:00~20:00 |