Photobooks of the Month

書店員がピックアップする5月のおすすめ写真集【Shelf編】

Egoiste No.18

Egoiste No.18

東京には、個性的なセレクトが光るブックショップが数多く点在する。その中で、アートに力を入れる大型書店や個性的なアートブックやZINEを扱うインディペンデントブックショップなど、写真集を扱う4店舗の書店員が、毎月おすすめの写真集を3冊ずつピックアップ。

セレクト・文=森屋恵美(Shelfオーナー)


1977年に創刊。ヘルムート・ニュートンやリチャード・アヴェドンらファッション写真界のセレブらによって誌面が彩られてきた雑誌『Egoiste』の最新号です。季刊とスタートしたと聞きますが、年を経るにつれて出版ペースは緩やかになる一方で40年の間に18の号が出版されてきました。しっかりした厚い紙を用いた誌面で白黒写真のみを見せるスタイルや、ヴォリュームある頁を糊や糸、針金を使わないで折り製本でまとめ上げたデザイン、書籍を上回る価格設定は、その後多くの追随者が現れるまでは雑誌としては型破りでした。パリの限られたキオスクで予告なく発売され、「どうやったら買えるのかわからない雑誌」と話題になった謎流通は、高度な販売テクニックであったのか「天然」であったのか…。こんなゴージャスとスノッブとカルトが入り混じった伝説の雑誌が3年ぶりに出て、「生きる伝説」に復活したのが私的にはちょっとしたこの春の事件です。亡きニュートンとアヴェドンに代わり、パオロ・ロヴェルシやエレン・フォン・アンワースが中心となってコントリビュートしています。

タイトル

『Egoiste No.18』

出版社

Egoiste

価格

9,900円+tax

発行年

2018年

仕様

ソフトカバー/400mm×300mm/132+120ページ/French

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=129745069


広告やエディトリアルの世界でよく知られる写真家、中川十内がインド東北部ビハール州にある小さく貧しい村のアウトカーストの人々を撮った写真集です。出稼ぎ中の男に代わってサリーを纏った女達が畑を耕すその村には文明の利器は存在せず、村人は写真を撮ったことも撮られたこともなかったといいます。これから何が起こるかわからない不安とそれを上回る好奇心、湧き上がる笑みを一所懸命押し殺して取り繕う口元…布を木に括り付けたごく簡単なホリゾントの前に立つ村の人々の表情は愛おしく、見飽きることがありません。そして一枚一枚の写真が美しい。サリーを思わせるピンクの糸で綴じた装丁も素敵です。

タイトル

中川十内『Passages of Pure and Beautiful Souls』

出版社

BB.BOOKS

価格

4,000円+tax

発行年

2018年

仕様

ソフトカバー/360mm×250mm/48ページ/English

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=129219978


荒木経惟が電通を退社後フリーの写真家として活動し始めた1970年代初めから1980年代後半にかけて制作したヴィンテージプリントのイメージを収録したフォトブックです。ウジェーヌ・アジェを意識して三脚に固定したペンタックス6×7で東京の細部を撮った作品、カメラの日付表示機能を用いた「写真日記」の原型となった作品、小津安二郎からタイトルを引いた『東京物語』からの作品、など全部で21点が掲載されています。この4月にタカ・イシイギャラリー ニューヨークで開催されていた展覧会のカタログとして出版されました。手にするとはっとするほど軽量の紙を用い、写真とインデックス以外、余分なものをすべて取り払ったシンプルな写真集です。

タイトル

荒木経惟『Nobuyoshi Araki: Vintage Prints』

出版社

Dashwood Books

価格

3,500円+tax

発行年

2018年

仕様

ソフトカバー/200mm×150mm/48ページ/

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=130599122

Shelf
外苑前にあるブックショップ。写真集を中心とした洋書を専門に取り扱っており、店内には希少な本から絶版書までさまざまなジャンルの写真集が所狭しと並べられている。

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-4
tel / fax: 03-3405-7889
http://www.shelf.ne.jp/