Photobooks of the Month

書店員がピックアップする2018年の売上ベスト写真集【Shelf編】

プロヴォーク復刻版

プロヴォーク 復刻版

2018年はどんな写真集が売れたのだろうか? 毎月4店舗のおすすめ写真集を紹介しているこのコーナーでは、年末特別号として2018年の売上ベスト3と、来年注目のアーティストを紹介。今年の写真集のトレンドが見えるラインナップに注目してみよう。

セレクト・文=森屋恵美(Shelfオーナー)


1968年に創刊されわずか3号で終わった伝説の同人誌『プロヴォーク』の全3巻が、半世紀を経て完全復刻版として出版されました。多木浩二、中平卓馬、高梨豊、岡田隆彦、森山大道(第2号から)を同人とした『プロヴォーク』の活動は、日本国内はもとより近年欧米でも非常に評価が高まり注目を集めています。ただ50年前に刊行された『プロヴォーク』は古書としても大変な稀覯本で、興味があってもこれまではほとんど「見ることができなかった」のです。今回の復刻は既存出版社ではなく、貴重なオリジナル版を入手する機会を得た一古書店が版元となり、皆ができる限りオリジナルに近いものを見ることができるようにとの強い思いから実現したものです。こんなタイミングに出くわしたなんて幸運ではないですか?

タイトル

『プロヴォーク 復刻版全3巻/PROVOKE Complete Reprint of 3 Volumes』

出版社

二手舎

価格

8,000円+tax

発行年

2018年

仕様

ソフトカバー/(第1号)210mm×210mm(第2号)240mm×180mm(第2号)240mm×190mm/(第1号)68ページ(第2号)109ページ(第2号)110ページ

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=131669374


年々、人気が高まるアメリカの写真家トッド・ハイドの新刊が入荷しました。トッド・ハイドはオハイオ州出身でこれまで一貫してアメリカ郊外を題材とした作品を発表してきました。家の中から漏れる光だけを使った夜間の長時間露光撮影により不思議な色彩で家屋を浮かび上がらせ、郊外の不気味な静けさを際立たせた『House Hunting』、車のフロントガラス越 しに撮影された美しくも荒涼とした風景写真を集めた『Roaming』、そして1970年代にオハイオ州郊外で過ごした少年時代への心の旅『Excerpts from Silver Meadows』と、長い年月をかけて物語を紡ぐかのように切々とアメリカ郊外を描き続けてきたのです。そんなトッド・ハイドの今回のテーマは「大いなる冬」。これまでとは一転してヨーロッパや日本も含め広く撮影旅行する中から、より普遍的な世界を描き出しています。暗く広大な大地、煙る視界、厳しい凍えのなかの輝き…写真家が新たに生み出した心象風景はこれまで以上にスケール感が増し荘厳な気配すら漂わせます。トッド・ハイドの新境地を示す、ファンの方には見逃せない1冊です。

タイトル

トッド・ハイド『Bright Black World』

出版社

Nazraeli Press

価格

10,500円+tax

発行年

2018年

仕様

ハ-ドカバー・クロス装/300mm×430mm/104ページ/English/大判ポスター付き

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?mode=srh&cid=&keyword=Todd+Hido%3A+Bright+Black+World


イギリス生まれ、アメリカ在住のマイケル・ケンナは、静謐な美しさを湛えたモノクローム風景写真でよく知られる写真家です。初期のケンナはユージェンヌ・アジェやビル・ブラントなど巨匠へのオマージュが感じられる魅力的な風景作品を残していますが、やがて日本を含む世界各地の風景を撮る中で独自の世界観を深め、写真家としての人気を一層決定的なものにしていきました。その風景写真の第一人者が初めて出版したヌード写真集が本書『裸婦/Rafu』です。このシリーズは2008年から2017年の10年間に日本で撮影した作品から成っており、英語タイトルもあえて『Rafu』と付けられています。新たなチャレンジとして発表されたヌード作品…面白いことにそこには、かつてのマイケル・ケンナの風景写真がそうであったように過去の巨匠写真家たちへのオマージュに満ち溢れているように感じられます。写真集は屏風のようなフォルダーに収められていて、和風建築内での撮影の雰囲気を感じながら鑑賞できる装丁となっています。

タイトル

マイケル・ケンナ『裸婦/Rafu』

出版社

出版協同社

価格

8,000円+tax

発行年

2018年

仕様

300mm×200mm/64ページ

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?mode=srh&cid=&keyword=Michael+Kenna%3A+%CD%E7%C9%D8%2F+Rafu


2019年注目のアーティスト

写真家・佐内正史が自身の主催する出版レーベル「対照」から6年ぶりの新作『銀河』を出版したことはこの4月にご紹介したとおり。そして、この冬「対照」レーベルからもう1冊の写真集が出版されました。今回は日常を抜け出して、詩人・御徒町凧とともに綾瀬、沖縄、香港、マカオを旅しながら「見えないゾンビ」に立ち向かう夏の冒険物語です。(「見えないゾンビ」って何?という話は、まずは本を買ってから)どうやらインプット期、発酵期を経てアウトプット期のサイクルに入っている様子の佐内正史by「対照」、2019年もどんどん写真集が出ることを楽しみにしています。

タイトル

佐内正史『Summer of the DEAD』

出版社

対照

価格

3,240円+tax

発行年

2018年

仕様

ソフトカバー/230mm×140mm/256ページ

URL

http://shelf.shop-pro.jp/?pid=137447735

Shelf
外苑前にあるブックショップ。写真集を中心とした洋書を専門に取り扱っており、店内には希少な本から絶版書までさまざまなジャンルの写真集が所狭しと並べられている。

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前3-7-4
tel / fax: 03-3405-7889
http://www.shelf.ne.jp/