1827年にニエプスが写真技術を開発し、まもなく200年になろうとしている。この写真史の大きな節目に先立ち、21_21 DESIGN SIGHTでは今月23日より「写真都市展 -ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち-」を開催している。
20世紀を代表する写真家ウィリアム・クラインは、1956年に写真集『ニューヨーク』で衝撃的なデビューを果たし、その後世界各地で写真のタブーを覆す視覚実験を繰り返し写真史に決定的な影響を与えてきた。そのエネルギッシュな活動は映画、デザイン、ファッションにもおよび、89歳となった現在も作品を発表し続けている。本展では映像作家TAKCOMとのコラボレーションによる、クラインの200点あまりの写真、タイポグラフィ、映画のスチールなどを組み合わせたマルチプロジェクションが見所のひとつとなっている。
「ウィリアム・クライン+TAKCOM, 2018」
約30年ぶりに来日したクラインはプレス向け記者会見で、「1961年に感じたのは東京オリンピック前の非常に心地よい混乱と熱気。久々に見た東京はまるで巨大なおもちゃのよう。新しい東京の姿を見ることができて嬉しい」と語った。クラインはシャッターを切る取材班にカメラを向け、その写真家らしいユーモア溢れる対応は会場を沸かせた。
そして、同展でクラインの作品と対比的に展示されるのが、いま日本やアジアで活躍中の若手写真家の作品。21世紀の都市を見つめ、新たな写真のあり方を探る野心的な彼らは、クラインの冒険心を受け継ぎながらも、その先の新しい挑戦を試みようとしている。須藤絢乃、石川直樹+森永泰弘、水島貴大、朴ミナのほか、IMA Photobooksでも写真集『TOKYO』を刊行した西野壮平、現在IMA galleryで個展を開催中の藤原聡志も参加。
西野の「Diorama Map」は、旅先で撮影した何万枚ものフィルム写真のコンタクトシートを組み合わせ、その都市の架空の地図を作り上げた代表作。14年間継続して行っているシリーズで、本展では11点の作品が、まるで都市を上から覗くかのようなインスタレーションで展示される。
藤原の「Scanning #1」は、屋外で巨大インスタレーションとして展示され、写真の新たな見せ方を提示している。
藤原聡志「Scanning #1」
膨大な写真が地球を取り巻くいま、イメージの世界、そして都市はどのように変化していくのだろうか。展示は6月10日(日)まで開催中だ。
2021年3月以前の価格表記は税抜き表示のものがあります。予めご了承ください。