The possibility of photography enliven by IANN

韓流は写真界にも!アジアのアートプラットフォームを目指す「IANN」とは?

AREA

韓国

18 September 2020

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韓流は写真界にも!アジアのアートプラットフォームを目指す「IANN」とは? | © Kim Eunchong

© Kim Eunchong

写真雑誌『IANN(イアン)』を2007年に創刊して以来、韓国における写真文化の発展と海外との連携に力を入れてきたキム・ジョンウン。その活動は、雑誌や写真集の出版、企業とのコラボレーションによるアートプロジェクト、アジアの写真のプラットフォームづくりなど多岐にわたるが、2018年にはソウルにアートギャラリーを併設したブックショップ「The Reference」をオープン。今年9月にはソウル市立美術館本館(SeMA)とHOTEL ANTEROOM SEOULに、アートブックショップをオープンしたばかりだ。 現在募集中の「IMA next #14」の審査員を務めるキム・ジョンウンが目指す写真の未来を、IANNの活動の全貌とともに紹介する。

文=IMA

印刷メディアを通しての写真の普及

IANNのスタートは、IANN Booksとして2007年に創刊した写真雑誌『IANN』(創刊から6号までは日本の出版社フォイルとの共同出版で刊行)となる。韓国での写真文化の底上げ、そしてアジアを見据えた写真のプラットフォームを目的として、20代のキム・ジョンウンが一人で立ち上げたIANN。「二つの眼」を意味するIANNは、スタート時点から日本との相互の交流を試みながら、雑誌を起点に写真集の出版など、その活動分野を広げていった。

『IANN』は不定期刊行ながら、「Inside Out Outside In Far East Asia 」「Nostalgia for Nature」「Beyond the Silent paper」などの特集テーマを毎号掲げ、世界各国の現代写真家の作品を紹介。7号目からはメディアとしての写真集に着目した特集に注力し、作家の作品を紹介する誌面から、印刷メディアのプラットフォームを模索する姿勢へと変わっていく。雑誌『IANN』は現時点で9号(2018年刊行)まで出版され、最新号は「Asian Bookmakers Society」というテーマのもと、アジアを拠点に出版に関わる人たちのリレートークが展開されている。IANNの現在の方向性を決定づけたのが、2018年のリアルスペース「The Reference」といえるだろう。

The Referenceのブックショップ

The Referenceのブックショップ


アートに出会えるブックショップ The Reference

IANNが運営するThe Referenceは、地下のギャラリーと2階のアートブックストアで構成され、アジアにおけるアートブックのプラットフォームとして、書籍と展示、連携プログラムを通してさまざまな写真文化を紹介し、話し合いの場となるような、開かれた空間を目指している。これまでにアジア5カ国(韓国、日本、中国、台湾、シンガポール)のアートブックおよそ250 タイトルを集めて紹介した「The Reference #1: Asia Art Book Library」展のほか、伊丹豪とキム・チュンスの二人展「Pixel Noir」、日本の写真集出版社Caseの印刷物と関連作品を紹介した「IN PRINT, OUT OF PRINT」展、小原一真の個展「exposure」など、韓国作家のみならず、日本写真を積極的に韓国に紹介しているのも特徴だ。現在は新型コロナウイルスの影響で制限があるが、展示のみならず、作家を招いてのワークショップやトークイベントなど、写真教育の底上げに力を入れていきたいという。

The Referenceのブックショップ

The Referenceのアートギャラリー

さらにThe Referenceから発展して、今年9月にはソウル市立美術館本館(SeMA)に直営のアートブックショップをオープン。ここでは写真集のみならず、さまざまなアートブックを取り揃えている。「HOTEL ANTEROOM SEOULの最上階にオープンしたTELLER’S 9.5 BAR & BOOKSHOPのブックショップ運営をはじめ、地下2階のGALLERY 9.5での展示企画を手がけることで、同時代アジア文化芸術交流の拡張に寄与していきたい」とキムは語る。アートと本をつなげるアートブックショップは企業と提携して行うアートマネージメント事業の一事例であり、その第一歩が今回のHOTEL ANTEROOM SEOULとのコラボレーションだ(HOTEL ANTEROOMは、彫刻家・名和晃平がアートディレクションを手がけるアートホテルとしてもよく知られている)。

THE REFERENCE×SeMA © Park Injun

THE REFERENCE×SeMA © Park Injun

HOTEL ANTEROOM SEOUL TELLER’S 9.5 BAR & BOOKSHOP © Park Injun


アジアのアートコミュニティプラットフォーム「THE REFERENCE ASIA」

現在、IANNのメンバーは、創設者のキム・ジョンウンのほか、2名の固定メンバーのほか、インターンやプロジェクトごとに参加するメンバー数人の体制となる。IANNの枠組みを超えたプロジェクトが、アジアのエディターシップを基盤とする非営利芸術団体「Unit Circle」だ。Unit Circleによるプラットフォーム「THE REFERENCE ASIA」を核として、毎年行っている「ART BOOK LIBRARY」展や、写真公募「PHOTO PRIZE」がある。「THE REFERENCE ASIA」では、アジアの写真表現を拡張する才能あふれる作家を発掘・支援するだけでなく、彼らとともに新しい時代を切り開くことを目標としている。写真業界ではいま、多様な国や人種の作家が活躍し始めながらも、欧米主導の状況がいまなお根強く残っている。アジアの中で連携していくことで、ひとつの写真の潮流となること、さらにアジアの中での交流が生まれ、新たなコミュニティへと発展することを願ってやまない。キムはその舵を取り、時には模索しながらも常に挑戦を続けている。

The Referenceでのトークイベントの様子

The Referenceでのトークイベントの様子

タイトル

「IMA next」THEME #14 “Co-exist”

応募期間

2020年8月13日(木)~10月13日(火)

応募料金

2,000円/1エントリー

URL

https://ima-next.jp/entry/co-exist/

キム・ジョンウン|Jeong Eun Kim
The Reference ディレクター、IANNBOOKS発行人兼編集長。2007年に出版社IANNBOOKSを設立、コンポラリーアート写真雑誌『IANN』の編集長として活動し、多数のアート写真集を出版している。Art Sonje Center SAMUSO: 教育チームを経て、「Seoul Photo Festival 2010」キュレーターや「Daegu Photo Biennale 2012」チーフエキシビジョンコーディネーターなど、写真企画フィールドでも幅広く活動する。2018年芸術複合スペースThe Reference Seoulを設立、現在さまざまなアジアの国際交流プロジェクトを進行中であり、アジアのエディターシップを基盤とする非営利芸術団体「unit circle」のメンバーとして、「THE REFERENCE ASIA: ART BOOK LIBRARY」展や「THE REFERENCE ASIA: PHOTO PRIZE」写真公募展を主宰する。