ハードコアすぎる迷彩表現。藤原聡志が切り取る
ナイキラボ×マシュー・ウィリアムズ

27 March 2019

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ナイキラボ×マシュー・ウィリアムズ

ベルリンをベースに活動する写真家の藤原聡志。昨年はベルギー・リエージュ近代美術館のビエンナーレに招聘されたり、21_21 DESIGN SITEのグループ展「写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−」に参加するなど、活躍が続いている。2月に開催されたGinza Sony Parkでの展示でも新作を発表し、多くの人の目を楽しませた。そんな彼に白羽の矢を立てたのが、ストリートブランド・アリクスのデザイナー、マシュー・M・ウィリアムズだ。ナイキラボとのコラボレーションコレクションの第2弾のビジュアルを、この藤原が撮影している。

ウィリアムズはディオールデザイナーのキム・ジョーンズ、ルイ・ヴィトンデザイナーのヴァージル・アブローらとも親交を持つ、今のファッションシーンに欠かせない重要人物の一人。このコラボコレクションは、ナイキが保有する人体のトレーニングデータなどをデザインに応用したアイテムがアウトプットされる。このデータドリブンな視点が現代のビッグデータからのディープラーニングを連想させ、少しフューチャリスティックな印象も受けるが、それとは裏腹にプロダクトは「本当にハードコアなアウトドアトレーニング」のために作られた大変フィジカルなものだ。

第2弾では人の体温分布図を基にしてデザインした迷彩パターンがキーだ。そのためサーモグラフィーのようなピクセルが集合したランダムな幾何学模様が迷彩をなしている。

キャンペーンビジュアルではこの迷彩柄にフィーチャー。軍事訓練のようなストリクトなシーンを収めた縦位置カット3枚を並べ、横位置1枚としたキャンペーンビジュアル。その非連続性が迷彩のランダム感を増している。そして迷彩の中に人肌とナイキのスウッシュが交わり、コントラストをなす。藤原らしく陰影を強調したカットはドラマチックであり、どこか艶めかしさも帯びる。人が重なり合う、入り乱れているかのようなカットは極限状況化に置かれた人間たちの狂気が溢れるかのようだ。

代表作である「code unknown」の接写を思わせるモデルのディテールを切り取った構図が、いわゆるキャンペーン写真とは一線を画した仕上がりになっている。藤原は、ターポリンという素材を用いたインスタレーションを通じて、一貫して写真という二次元の媒体に立体性を持たせる表現活動を行ってきたが、このナイキのビジュアルも、二次元と三次元が奇妙に入れ子構造になったような不思議な表現で、私たちの目を惹きつけてやまない。

アイテムはナイキラボストアドーバー ストリート マーケット ギンザで取り扱われている。機能を追求したウエアを手に取り、このビジュアル表現を追想してみてはいかがだろうか。

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